投資・FP

2009年1月28日 (水)

金融商品とどう付き合うか

新保恵志『金融商品とどう付き合うか』岩波新書を読みました。岩波が投資本?、という軽いサプライズで購入したのですが、なかなかよい本だと思います。

とくに、リスクとリターンの関係を理解することに重きを置く観点から、金融商品の仕組みの解説を、株式ではなく債券からはじめているところが、技ありという印象です。なるほど~

また、投資本はセンセーショナルな内容で惹きつけるタイプのものが大半ですが、本書は岩波らしいごく抑えた(教科書的な?)叙述であることも、かえって新鮮です。老後リスクなども述べていますが、類書のように投資を煽ることなく、「リスクを取りたくない個人に、リスクを取ることを決して勧めません」(202頁)と明言するのも、好感がもてます。 

投資経験をある程度積んだひとには物足りないでしょうが、これから勉強しようと考える人には、オススメしたい一冊です。

 

2009年1月14日 (水)

海外ETFに初挑戦

外国株式クラスはこれまで投信(トヨタアセット・バンガード→STAMグローバル株式)で定期積立してきましたが、世界経済の成長率が当分のあいだ見込めない現状では、1%未満の信託報酬でも気になります。

1%というとどうってことないようにみえますが、例えば1株当り成長率が2~3%しか見込めないとすると、リターンの半分から1/3をもってゆかれることになります。

そういうわけで、為替手数料や買付手数料がすこし気になるものの、はじめて海外市場上場のETFを購入してみることにしました。(SBI証券)

 

まずは「為替取引」でドルを買って(ドル建てのETFなので)

 

・・・

 

で、1日目は終了。めずらしく早寝したので、為替取引の予約になりました。

 

翌日、気を取り直して(10:00のドル円レートで約定)、「米国株式取引」を開くと、

 

なんと、小生なじみの「成行」がなし。指値注文しようにも、株価がわからない!

 

これは面倒ですね。真夜中に相場をみるのも面倒なので(しかもSBI証券では有料サービスを利用しないと20分遅れの株価しかわからない)、Yahoo Finace! で最近の株価を調べて、それよりちょっと高めで注文しました(セント単位で指値できるのは便利です) 

 

翌日になって口座をみると、しっかり約定してました!

 

結論から言うと、外国株式はちょっと面倒ですね。手数料も格安とはいえ、為替手数料(片道25銭)、取引手数料25ドル、税1.25ドルですから、ある程度まとまった金額の取引でないと、短期的にはかえって割高でもあります。

それと、余ったドルをMMFにまわすには100ドル以上いるので、ぎりぎりで買おうとすると、金利のつかない外国為替口座に放置しなければならないのも残念です。(まぁ、「全額売却」でセント単位まで一気に処理できますけれど。)

 

そんなわけで、投信積立の便利さを再確認しつつ、早く日本の証券取引所にも海外株式連動ETFが上場してくれないかなぁ、と思いました。

 

ちなみに、買った銘柄はVWO。新興国の株価指数に連動するETFです(口数はヒミツ)。

オバマ政権の様子をある程度みて、TOK(日本以外の先進国の株価指数に連動)も買ってみようと思ってます。

2009年1月12日 (月)

投資本とBMW

年末年始に何冊か投資本を読んで勉強しました。

①山崎元『超簡単 お金の運用術』朝日新書

②シティバンク銀行個人金融部門『世界経済のゆくえと資産運用戦略』東洋経済

③小堺桂悦郎『はじめは中古のBMWに乗りなさい』幻冬舎

 

①は山崎氏の新著であり、個人的には、最近読んだ投資本でベストの評価です。ややリターンを強調しすぎのような印象ですが、それも著者の相場観の反映でしょう。ギャンブルの効用を説いた部分もうれしくなります。

②はきちんとした運用本。前著の『入門グローバル分散投資』と併せて、まじめな本だと思います。ただ、ヘッジファンドやコモディティの活用を強調し、またCAPM理論を前提にして議論を展開しているのは、すこし古いのでは。

また、序章で「金融資産1000万円以上」(31頁)が対象と言い、肝心のアセットアロケーションをイメージにとどめて具体的数値をいれず、「シティゴールドプレミアム担当顧客(弊行金融資産残高5000万円以上のお客様)限定」(146頁)としているのは、残念というか、正直というか。。。

③は会計の読み物。ムラムラとクルマが買いたくなって、どうせ買うならBMWクラスだと暴走しつつ手にしたところギャフン。ハイ、手放した理由を思い出しました。思い出しましたが、5年オチの318i なら160万ほどで買えるのかと思うととても・・・・

 

 

 

・・・これから体操やら公文式やらの月謝がかかるのにアホちゃうか、と家内に一蹴されました。BMWの件はこれにて落着。

2008年10月25日 (土)

大恐慌になるのかな

インデックス投資に慣れてくると、株価が急落しようが為替が動こうがあまり関心はなくなります。長期的な経済成長を頼りにインデックスを毎月定額積み立てるだけなので、世間で株価暴落を大騒ぎしていても、次の買い付けは安く買えるなぁ、ぐらいの感想を抱くぐらいが関の山です。

ただ、相場の変動に一喜一憂しなくなることは、腰を据えて投資を続けるうえでは大切なのですが、相場の動きに示される世界の大きな変化について、うっかり見逃してしまうおそれもあります。(逆に、相場に張り付いている人は、過度に悲観的になったりするのかもしれませんね。)

インデックス投資は、長期的な世界経済の成長(=株価上昇)を前提にしていますが、それだけではありません。暗黙のうちに、現在の経済活動に深く関わる法律や制度、あるいは権力の所在などが、今後とも同じように続く、とみています。

しかし、実際に20世紀に起こったことを並べると、イギリス帝国の凋落、社会主義経済圏の形成と崩壊、世界大戦による富と生命の暴力的破壊など、想定しがたい事件が相次いでおきています。日本でも、敗戦で社会の構造ががらりと変わるとともに、預金封鎖と通貨切替、資産課税や農地解放など、所有権を侵害する施策も実施されました。

要するに、インデックス投資法が成功するためには、世界が平和で日本も米国も破産しない、ということが必要なわけです。

しかし、ひとたび体制的な危機が生ずると、たとえ何億円持ってたってダメです。他ならぬ国家が所有権を(あるいは生命をも)侵害するのですから、国家権力を動かす力を持つごく少数者しか、安全ではいられません。

小生も含め、庶民大衆は、小金に頼るのではなく、時代の変化を受け入れて、新しい状況下で生きるすべを、一から考えねばならないようです。

貯金が0になったりすることは、耐え難い苦痛ですが、世の中に確実なものはない、万一のときは自分の能力(脳力)だけだ、という覚悟しつつ、楽観的な未来(日経平均が4万円を超えるとか)を期待したいものです。

 

・・・いろいろ難しいことを考えたのは、枕元でこの本を読んだせい。

「金持ちになる条件とは」「格差社会が崩壊する日」といった章が大変に面白く、著者の狙い通りに鬱々しました。 (;´Д`)アワアワ

2008年10月13日 (月)

REITに対するの考え方の見直し

数日前に、上場REITのニューシティ・レジデンス投資法人(NCR)が破綻しました。借入金の借り換え及び物件取得のための新規借入を金融機関に断られたからだそうです。

報道を耳にして以来、これまで読んだ投資本のREIT部分を読み返し、いろいろ考えたのですが、結論として、

 

REITはハイリスク商品である

 

という結論に達しました。理由は、以下の3つです。

第1に、借入金によるレバレッジをかけているため、金利変動リスクはもとより、NCRのように金融機関の融資姿勢如何で、キャッシュフロー破綻を起こす可能性があること。

第2に、破綻時には不動産を投売りするおそれがあり、しかも投資法人債が優先弁済されるため、投資口が0円になるおそれがあること。(上場廃止時点でのNCRの株価で確認できるでしょう。)

第3に、単純な事実として、東証REIT指数の下落幅がTOPIXよりも大きいこと。

 

幸いにもREITへの多額の投資はしていませんでしたが、「ミドルリスク・ミドルリターン」とか「破綻しても不動産があるから大丈夫」といった主張がいかにいいかげんなものであったか、今になってわかったということです。

その点では、山崎元氏が一貫してREITにおける「情報の非対称性」「利益相反」「金利リスク」をとりあげ、REITの投資リスクは大きいと論じてきたことは、氏の見識の正しさと、個人投資家に対する良心的なスタンスとを、改めて示したように思います。

チキンな小生としては、ETF(1343)を小額ずつ積み立てることはあっても、売買益や配当利回り目的で多額の投資をするのは控えることにします。(1343も売買高が小さいので、しばらくは様子見の予定ですが。)

 

2008年10月12日 (日)

天井3日、底3年

前にベア(下げ相場)は急にやってくると書きましたが、他にも「天井3日、底3年」という格言もあります。

利食いは早めにということですが、文字通りに読めば、一旦下がった相場はなかなか浮上しないという経験則にもなります。言い換えれば、高値で売るのは難しいが、安値で買うのはさして難しくない、ということです。

とすれば、直近の株や債券、REITの安値をみて慌てて買い出動する必要はなく、数年にわたる低迷相場を見越して、ゆっくり拾ってゆけばよい、ということになります。

未来のことはわかりませんが、市場に参加する人間の心理がそれほど変わりないならば、先人の経験則は参考にすべきでしょう。

先の記事で「そわそわしている」と書きましたが、格言で自戒し、相場に拘泥せに粛々とドルコスト法で積み上げることにします。(アロケーションは下落の激しい日本株式+REITを重視する方向に切り替えますが。)

 

もっとも、格言自体に「底100日」という別バージョンもあり、粛々と積み立てるのが正しいかどうかはわかりません。そうした市場の先行き予測を一切捨て去るところに、ドルコスト法の真髄があるのかもしれませんねdog

2008年10月 4日 (土)

相場の下落にうずうず

米国では金融安定化法案が成立したようですが、ここ最近の相場の下げっぷりには感心しています。「ブル(上げ相場)は階段を上って来るが、ベア(下げ相場)は窓を突き破って逃げる」(?)とかいう格言を思い出しました。

さて、急落した相場ですが、小生は幸いにもレバレッジ1倍なので、あわてて手仕舞う必要はありません。大借金もなく、生活費も給与所得で賄えます。

となると、配当利回りが5%を超えたり(10%超もザラ)、PBR1倍割れ銘柄が続出したりと、株もリートも大バーゲン中なので、むしろ個別の銘柄を物色したくなります。

現在の投資法は資産形成を重視したインデックス型投信の積立オンリーですが(学資はゼロクーポン債)、せっかくの相場急落。大やけどしない程度に、配当や優待を少しは楽しんでみようかな。。。dog

 

2008年9月26日 (金)

レコーディング貯金?

近頃ダイエットの世界ではレコーディングが流行っているそうです。その肝は、記録を通じて自分の食習慣を振り返り、自発的に食生活を改善することにあるようです。

貯金も同じで、家計簿を通じて消費生活を省みることが、その第一歩になります。毎日、毎月、毎年の支出を記録し分析することで、いつしか無駄遣いが減り、お金の貯まる体質へと変わります。

レコーディング貯金、ですね。

大事なのは、無理をしないこと。減量も貯金も一朝一夕にゆかないものだけに、最初から無理をせず、まずは現状を知ることからはじめるのがよいようです。

  

「貯金なくして投資なく、利殖なし。蒔く種がなくては何も生やすことができぬからである。ことに必要なのは、貯金の精神であり、貯金をする生活態度である」(本多静六『私の生活流儀』実業之日本社、198頁)

  

2008年9月23日 (火)

ライフプランのレベル

先週より混乱の続く金融市場ですが、高レバレッジのポジションを組むプロの投機家はいざ知らず、 小生には慌てて手仕舞うべき理由はありません。急ぎの現金は必要ないし、計算上の最大損失額にも達していないからです。(達したからといってポートフォリオを変えたりしませんが。。。)

ただ、感情的にも落ち着いていられる理由は、「安心のFP」をしっかり定め、それを着実に実行していることに求められると思います。

前にも書きましたが、ファイナンシャルプラン(FP)には、いくつかのレベルがあります。(ロバート・キヨサキ氏も同じようなことを語っていますね。)

「安心のFP」

「快適生活のFP」

「お金持ちのFP」

です。

安心のFPは、失業や病気といった不確実なリスクに対処し、また、教育費や老後生活費(年金不足分)など発生が見込まれる支出を準備するためのプランです。

具体的な方法はさまざまでしょうが、①生活防衛資金を貯める、②資産が乏しいうちは保険に加入する、③教育費や老後資金は基本ポートフォリオを育てて対応する、というあたりが原則でしょうか。

「安心のFP」は、路頭に迷わないためのプランですので、項目数や金額は控えめにすべきです。小生の場合、自動車や住宅の費用は次の「快適生活のFP」に計上しており、「安心のFP」に目処がつくまでは、購入しないことにしています。

ただ、子供の成長と共に、「快適生活のFP」についても具体的に考えねばならないと思うようにはなっており、以下、すこし考えたところを述べます。

まず、住宅については、自宅の代わりにREITを購入して、配当を家賃支払に充てる戦略を考えています。

先ほど上場したREITのETF(1343)の利回り5%を前提にすれば、2000万円を投資できれば、家賃の補填分として十分な100万円の配当が得られます(税引き前)。配当で家賃が完全に払えるようになれば、持ち家と区別がつかなくなります。

そのうえREITには価格上昇の楽しみもあり、うまくやれば2倍程度で売り抜けるかもしれません。個別不動産の相対取引につきものの欠点-価格の不透明性と流動性の乏しさ-とも無縁です。

あえて言えばREITのデメリットはレバレッジが低いこと(信用取引の3倍まで)ですが、チキンな小生には関係ありません。また、REIT組成に係る利益相反などの問題は、上場REITだけを購入することで、かなり軽減されると思います。(私募ファンドは怖いですね。)

次に、自動車ですが、個人ではどうしても買う気がしません。金食い虫だからです。

ただ、車両の減価償却やガソリン代の一部を経費として落とせる身分になれば、節税にもなる高級車にばんばん乗りたいとは思っています。

あこがれのBMWに乗るためには、開業や法人税を勉強せねばならないですね。。。

2008年9月13日 (土)

ゼロクーポン債投資2号

久しぶりの更新です。投資本の新刊が相次いでるのでいろいろ読んではいますが、なぜかエントリする気にならないので、間隔が空いてしまいました。

で、数日前に学資用に外債を購入しました。昨年は米国債を買ったので、今回はユーロ建てのフランス国ストリップス債です。

外債は基本的に外貨ベースで確定利回りなので、購入時と償還時(満期直前の売却時)の為替レートさえ気をつければ(気をつけても仕方ないですが)、あとは気楽なものです。

とか言いつつ、ちょうど1ユーロ140円台をつけた日に買えたと喜んだりしていますが (・∀・)ニヤニヤ

面白かったのは証券会社の担当さんで、金取法の関係ですと断りつつ、

 

フランスが破綻すれば、元本は戻りませんけれども・・・・

 

と次第に消え入りそうな声で、恥ずかしげに説明されたことで、

 

すこしでした。

 

(そういえば、中途売却時の金利リスクの説明がなかったような気が。。。)

(と思ったら、満期直前まで保有すると意思表示していたのを思いだしました。)

2008年8月24日 (日)

バビロンの賢者

久しぶりの更新です。

日経新聞の広告欄で、前々から読みたいと思っていた『バビロンの大富豪』の新訳が出版されたと知り、すぐに買い求めました。(2つの出版社から相次いで出されていますが、小生が買ったのはかんき出版のほうです。)

内容は、バビロニア遺跡から出土した粘土板をもとに、経済的な自由を得るための知恵を物語風に説いた本です。いわく、収入の10分の1(借金ある者は10分の3)を貯蓄して投資すること、労働を友と思いしっかり働くこと、チャンスを逃さないこと、注意深く管理することなどが、物語を通して語られます。

なかでも、ラクダ商人タルカドの物語と、バビロンの商人シャッル・ナダの話が、とくに印象的でした。奴隷の境遇にまで転落しながら、自尊心を取り戻すために借金の返済に全力を尽くし、あるいはよく働いて主人に認められ、道が拓けるという話です。

アメリカ流の通俗的な成功哲学だと嗤うひともいるかもしれませんし、粘土板云々は著者の完全な創作かもしれません。書かれている内容もごく常識的なことです。

ですが、本書の魅力は、経済的自由に至る普遍的な真理を、物語を通してわかりやすく読者に語りかける点にあります。文体も平易なので、子供の啓発にも活用できると思います。

なお、自宅を所有すべきだと主張している点は、少し考えました。持ち家か賃貸かという論争もありますが、そもそも真面目に勤労する一般市民が住宅を持てないいまの日本は、8000年前のバビロンにも劣るような気がしてならないのですが。。。

 

2008年7月19日 (土)

無税生活?

只野範男『「無税」入門』を読んでみました。タイトルはやや刺激的ですが、要するに給与所得を事業所得の赤字で損益通算すればよいという、わりとオーソドックスな節税法を解説した本です。

面白かったのは、事業所得か雑所得かは認識の問題であり、税務署側も統一した基準で判定しているわけではないと紹介している部分です。たとえ税務署からお尋ねがきたとしても、脱税や所得隠しではないので、 修正申告で済むとのこと。

事業所得かどうかの判定が単に税務署の担当者の裁量できまるという話が本当だとすれば、課税の公平という観点から、問題があると思います。

しかし、税務署の対応以上に、「無税」という考え方自体に対して、小生には違和感があります。

たしかに、税の賦課や使途に注意を払うのは有権者として当然のことですし、その最初の一歩として、確定申告を自分で行い、あれこれ節税を工夫することも、意味があるとは思います。

ただ、教育、医療、福祉、また水道や公共交通など、採算がとれないけれど住民のくらしに欠かせないインフラや公共サービスもあるわけで、それらは税金で支えるしかありません。誰もが「無税」になれば、当然にそれらの事業は崩壊し、住民の生活も破綻します。

対して、みなが都市に住めばいいとの極論もありますが、混雑やCO2その他の「集積不利益」がひどくなるし、第一、農山漁村という後背地なしの「都市国家」というのは、長期的に成立しないと思います。

最近話題になることも多い、災害対策や環境保全(水、森林なども含む)、食料自給率向上などに取り組むには、どうしても農山漁村が必要でしょう。(もっとも、ボス政治家による地域支配で、無駄な公共投資が多いことも事実でしょうが。。。)

 

ともあれ、いろいろ考えさせられた本でした。

2008年7月 7日 (月)

2008年上半期時点の投資成績

2008年上半期時点の投資成績(投資信託のみ、年利回りは算術平均)を計算しました。

    年利回り   資産配分
   国内株式      -16.4%      31.1%
   海外株式      -10.2%      28.4%
   国内債券        -0.3%        3.1%
   海外債券         4.6%      30.9%
   その他         8.4%        6.5%
   合計       -6.4%     100.0%
 *バランスファンドは各資産クラスに配分

この間の急激な円高やサブプライム危機を反映して、全体としては6%ほどのマイナスに終りましたが、債券型ファンドやその他(新興国ファンド等)のおかげで、予想外に軽症で済んだというのが実感です。

ただ、過去のリスク・リターン計算では、小生の資産配分では15%超のマイナスもありえます。それを覚悟のうえで、積み立てを継続する所存です。

もっとも、生活防衛資金を別に元本保証型金融商品(預貯金や個人向け国債等)で確保しているので、少々の損失は気にしていませんが。(むしろ物価上昇の方が気になりますね。)

なお、学資用の米ゼロクーポン債ですが、円建での直利回りで-2.5%。こちらも円高の影響を受けました。目下、第二子の学資用に、ユーロ建て割引債も交えつつ、買い増しを検討しているところです。

2008年7月 6日 (日)

人材価値は相場が決める?

遅ればせながら、三田紀房『エンゼルバンク』を読みました。

前作の『ドラゴン桜』もとても面白く、受験テクニックの部分では現役時代を思い出したりしましたが、本作では、仕事に悩むリーマンの転職問題が中心。おそらく20代後半が読者対象だとは思いますが、著者独特の鋭い(身も蓋もない?)言い回しは相変わらずで、転職限界年齢超えの小生にも楽しめました。

ネタバレにならない程度に、記憶に残った名言をいくつか。(カッコ内は引用)

「人の価値もそうです。自分で決めるんじゃないんです。決めるのは相場なんですよ」

「ちなみに30代半ばになって転職考えてる人、やめたほうがいいですよ。相場での価値はゼロですから」

人により事情は様々でしょうが、少なくとも小生のように、年齢的にも職業的にも転職のきかない人間には、よく納得できるセリフです。

かの本多静六も「職業の道楽化」や「四分の一天引き貯金」を強調していますが、人生を大過なくすごす秘訣は、宝くじや転職、起業といった一発逆転を夢見るのではなく、いまあるキャリアや資産(健康や人間関係も含む)を大切にすることに尽きるのかもしれません。

まぁ、医学部に受かるぐらいの頭でもあれば、また話は別なのかもしれませんが。(それでも体力が無いと卒後の激務に耐えられませんね)

2008年7月 3日 (木)

プロ倫を超えて

すこし古い本ですが、ゼリンスキー『働かないって、ワクワクしない?』を読みました。原題はThe Joy of Not Working(不労の喜び)で、勤労倫理に正面から挑戦した刺激的な本です。

ネット上ではアーリー・リタイアメントを賞賛するブログもよく見ますが、もし実際に仕事をしていなければ、「いい若い者が昼間からぶらぶらして」とか、「働かざるもの食うべからず」とか、あるいは「勤労の義務を定めた憲法に違反」とか、なんやかやと非難されるように思います。

実際、新聞記事などみると、働かない(働けない)息子とそれに業を煮やした親との悲惨な事件が後を絶ちません。

しかも、他者(家族も含む)からの非難以上に、むしろ自分で自分を攻撃するほうが、より深刻かもしれません。自己を蔑視し、あるいは無能感や無力感にとらわれることが、うつ病や不安神経症、行動障害などの原因になりうるからです。

働かないことを理由に、自分で自分を苛んでしまうのは、勤労の倫理を内面化しているからに他なりません。まさにウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の分析のとおりです。

ところが、ゼリンスキーの著書はこの勤労の倫理、さらには節約・節制・禁欲、時間の有効活用といった功利的な倫理を、ソクラテスやラッセルを持ち出して、正面から批判します。

曰く、(カッコ内はゼリンスキーからの引用)

「・・・ソクラテスはこう言っている。肉体労働者は他の人々と交流したり地域社会に貢献したりする時間がないため、悪い市民であり、友人としてのぞましくない、と。」(47頁)

「「怠惰賞賛」というエッセイの中で、ラッセルはこう書いている。「勤労のモラルは奴隷のモラルである。そして、現代社会に奴隷は必要ない。」」(51頁)

なるほど、勤労の倫理も一つの倫理(資本主義に適合的な倫理)に過ぎず、歴史を貫いて妥当するものではないようです。そう考えれば、仕事が生きがいの人を別として、無理に仕事を頑張る必要もなく、「停年までは手を抜いて」(知人のN先生)というスタンスで臨むぐらいが、健康や自己実現によいのかもしれません。

著者の言うとおり、特定の価値観で自己を犠牲にするのではなく、逆に人生を生き生きと楽しむために、自分なりの価値観を育み大切にすべきなのでしょう。そして、自分の価値観に沿って生きるときに、本当の意味で人生が「ワクワク」するのだと思います。

もっとも、 働かないと食えないのが「資本主義」の現実。同書では、「月収五百ドルで支出が四百九十九ドルなら、経済的に自立している」(284頁)とも言いますが、その「五百ドル」を得る方法が浮かばないから、みんな苦労しているわけなんですが。。。

2008年6月25日 (水)

なぜインデックス投資なのか

これまで何度か書いてきたように、投資の勉強にさして時間の割けない個人投資家にとってベターな(ベストかどうかわからないので)投資方法は、インデックス投資だと思います。具体的には、TOPIXなど株式時価総額を反映した指数に連動する投信やETFです。

最近はインデックス連動投信の種類も増え、かつコストも安くなっているので、ネットをつかえば簡単に国内外の株式及び債券指数に連動したポートフォリオを構築できます。期待リターンとリスクを計算するツールすら、簡単かつ無料で入手できます(制作者のご好意ですね)。

ただ、インデックス投資をする場合に、コスト以外にも留意しなければならないことがあります。それは、過去の数値から計算した期待リターンが、自分の投資期間(小生の場合は今後30年)で実現するかどうかは、誰にもわからない、ということです。

例えば、米国株式は過去100年間に、年平均9.5%(インフレ調整後は6.5%)のリターンをもたらしました。大恐慌や世界大戦などを挟んだにもかかわらず、名目で7年、実質でも約12年で、資産が倍になったわけです。

しかし、だからといって、次の100年も同じリターンが得られるとは限りません。20世紀は人類史上まれに見る経済成長をとげた世紀でしたが、21世紀も同じトレンドが描けるのか、地球環境問題や資源枯渇などを考えると、疑問符がつきます。

さらに、身近な日本経済の長期的な成長性については、どれだけ確信できるでしょうか。株式が年平均6%で成長するなら、小生が還暦を迎える2030年頃には、日経平均は6万円ほどになるはずですが。。。

要するに、過去のデータをどれだけいじっても、将来にわたる株式の期待リターンを求めることはできないわけです。そもそも過去の平均リターン自体、期間の取り方によって大きく変わります。

たしかケインズの言葉だったかと思いますが、平均自体が流動的であるにもかかわらず、過去の平均、あるいは「平均への回帰」を信頼することは、大きな危険をもたらします。

過去のデータをどれだけいじっても、所詮は過去のデータ。リスクとは、じつは未来のことに他なりません。

ただ、未来が不確実だからこそ、人間は生きられるという面もあります。確実な未来しかない社会では、人間は精神を病んでしまうでしょう。小生のようなリスク回避的な小人でも、やっぱり夢はもっていたいですから。

かつてA.スミスは、人間がギャンブルにはまる理由について、「大半の人間が持っている自らの能力への過大な自惚れと、未来に対する馬鹿げた夢」だと述べたそうですが、少なくとも後半部分については、インデックス投資にも当てはまるのかもしれませんね。

2008年6月24日 (火)

買いたいときは(3)

ずいぶん間があきましたが、買いたいときはの続編です。

買いたいときは

買いたいときは(2)

前回までの結論は、資産への投資と消費財の購入とを区別すること、そして消費財の購入はできるだけ安く済ませること、ということでした。

それでは、耐久消費財の場合はどうなのかというと、これも消費財である以上、できるだけ安く済ませるべきです。住宅、家電製品、服飾の購入は、食材・雑貨の場合と、原則的に変わりないわけです。

ただ、耐久消費財は1年以上にわたり使用できるので、単なる値段で比較するのはなく、値段(および手入れの費用)を期待される使用可能期間で除した数値で考える必要があります。

例えば、服飾品の場合、安物を1年でダメにするより、上等のものを手入れしながら長く使用した方が安上がりでしょう。小生は5年前に3万円で購入した靴をいまだに愛用していますが、手入れコストを年500円とみても、お得な買物になりました。

それから、家具や家電製品、自動車、住宅などの場合は、期間当りコストだけでなく、自分が必要とする機能を絞り込むことが、購入前に不可欠であると思います。

パソコンを通販等で購入する方ならよくご存知と思いますが、自分が必要とする機能ないしスペックを吟味しないと、不必要に高価な買物となり、しかも利用しないという無駄が生じます。

おそらくは住宅も同様で、子供の数にあわせて広い住宅を購入してしまうと、末子独立後は、多くの部屋がデッドスペースないし倉庫になってしまいます。坪あたり購入単価が大きいだけに、そうした支出はできれば避けたいものです。

ともあれ、耐久消費財の購入には衝動買いは禁物で、家族ともよく話し合い、じっくり検討すべきだということですね。

なお、消費財の購入を人的投資とみなすならば、もう少し議論が複雑になります。教育や食費はもちろん、服飾すら人的投資になりえます(investment clothing とか power clothing とよぶそうです)。この点については、また後日、検討したいと思います。

2008年6月19日 (木)

マンションを考える(2)

前の記事の続編です。今回は、村上健『良質のマンションを手に入れる』(生活人新書)の紹介です。

著者は一級建築士でもありながら、購入者の立場に立って5年間に600件を超える検査(施工中検査、内覧会検査等)を実施してきた、まさにマンション売買の裏表を知り尽くした方ということです。

そこでじっくり読んでみたのですが、期待に違わず、売買や検査の現場をリアルに描いて、下手な小説よりも面白い書籍です。厳しい指摘に誠実に対応する売主や施工者も紹介されていますが、欠陥を絶対認めず、ついには客を怒鳴りつける逆ギレ担当者も少なくないようで、クレーマー対策に頭を悩ます他の業界と比べると、異様としか形容しようがありません。

小生は賃貸ですが、前に換気扇の故障で管理会社を呼んだとき、会社が指定する業者から高額な部品交換料(ネットで調べた相場の数倍)を請求された経験があります。建物が公的融資を受けたものであることを思い出し、契約書にそうした特約がない旨を強調して、自分で探した業者に無料で直してもらいましたが(部品自体に不良があったそうです)、そのときも担当者が電話口や玄関先で大声で怒鳴りちらしたのを思い出します。

購入にせよ賃貸にせよ、他の産業ではありえないマンション業界の実態。情報の非対称性が強い業界だからこそ、説明責任の強化や第三者評価等の仕組みを整備し、誠実な企業や担当者が報われるようになってほしいと、強く感じました。

マンションを考える

2年前の本ですが、山岡淳一郎『マンション崩壊・あなたの街が廃墟になる日』(日経BP社)を読みました。REIT投信の積立をはじめてから不動産への関心が高まっており、まずは定評ある書籍から読もうと思い立ったからです。

区分所有についてはFP試験で勉強しましたが、やはり現場の実態を知るためには、ジャーナリスティックな書物が不可欠です。同書では、デペロッパー、販売業者、都市再生機構(旧公団)及び国交省、そして「資産価値暴落」に怯える居住者など、関係者の壮絶なドラマを描いて委曲を尽くしています。

と同時に、最終章ではマンションというコミュニティ再生の試みにも触れており、なるほどと思わされます。

マンションには多くの人の様々な思いが込められているので、きめ細かな対応、医療でいうインフォームド・コンセントやセカンド・オピニオンの仕組みを建築や販売のさいに導入すべきでしょう。また、住民同士も、財産という視点だけでなく、コモンズという視点からも、マンションを考えるのが得策なのだと感じました。

なお、著者には別に、色平哲郎氏との共著『命に値段のつく日』(中公新書ラクレ)という本もあります。いずれも、医療や建築といった、専門性の壁の向こうで利害が錯綜するきわめて難しい社会問題を分かりやすく紹介した好著でした。

2008年6月16日 (月)

STAMシリーズの運用報告書(2)

STAMシリーズのTOPIXとグロREITの運用報告書が届きました。1月から5月12日までの運用という点に留意する必要はありますが、TOPIXインデックスは信託報酬以外のコストが0円と、素晴らしい実績です。

しかしながら、グロREITは1万口当り信託報酬30円に加えて、売買委託手数料4円、有価証券取引税5円、そして保管費用等がなんと23円もかかっており、コストが目論見書(信託報酬年0.861%)の倍以上です。

期末の報告書を見るまでは何ともいえませんが、この調子では実質コストが年1.7%にもなってしまい、保有を見直す必要も出てきます。(とはいえ、海外の生REITを買うのは現実的ではないので、ポートフォリオ効果が見込める別種の金融商品を物色することになりますが。。。)

個人投資家としては、「インデックス」の名称を冠しているとはいえ、REIT指数連動型については、追加コストにしっかり注意を払う必要がありそうです dog

2008年6月15日 (日)

STAMシリーズの運用報告書

年初よりSTAMシリーズ(TOPIX、グロ株、グロ債、J-REIT、グロREIT)を積み立てていますが、先日、グロ株、グロ債、J-REITの運用報告書が贈られてきました。

運用報告書で最初にチェックする項目は、「1万口当り費用明細」です。信託報酬は目論見書でも明記されていますが、期中の売買委託手数料や保管費用、監査料などは決算までわからないからです。

個人投資家がコントロールできるのはコストだけ、という現実からすれば、当然の行動ですね。(反論あるかな・・・)

あとは、分配金(ゼロが望ましい)、基準価額の騰落要因、売買高比率(株式投信)、デュレーション(債券投信)などをチェックし、マザーファンドの組み入れ銘柄にざっと目を通して、終了です。銘柄をみると改めて投信のすごさを実感します。

今回は半期分の決算なのでコストも半年分とみなければなりませんが、信託報酬以外の追加コストは1万口当たり1円程度で、さすがインデックス投信、さすが住信AMです。(といいつつ、グロ債を三菱UFJの世界債(年1回)に乗り換えたりしてますが・・・coldsweats01

ただ、J-REITの売買委託手数料が3円(信託報酬は20円)と若干高めなのが気になります。グロREITの報告書も気になりますが、REIT指数の銘柄変更の影響なのか、それ以外の要因なのか、検討が必要かもしれません。

もっとも、東証にREITのETFが上場した時点で、スイッチングすればいいだけの話ですけどね。。。

2008年6月14日 (土)

健康の価値

最近はやや抑うつ気味で、軽い睡眠導入剤なども服用していますが、それだけにしみじみと感じることは、健康の経済的価値、ということです。

小生愛読のタウン誌には、人生相談・家計簿診断といったコーナーがあり、毎週のように投稿者の相談に専門家が答えています。見ると人生は様々で、20代で5000万円の資産を作ったのでどう運用しようか、みたいな豪儀な相談もあれば、50代夫婦で妻が病気でパートに出れなくなり、子供の学費をどう工面するかという、切実な話題もあります。

小生はやはり同年代の子持ち世代の相談を熟読し、ついでにわが家と比較してみます。家計簿や保有資産もそうですが、なにより相談に至る背景として、仕事や生活面でどんな変化があり、それが家計にどう影響したのかについて、学びたいからです。

そこで感じるのが、健康の価値です。いままで共働きでやりくりしていたのに、急に妻が病気になって、家計が回らなくなった、という類の話はとても多いです。いえ、夫の側がうつで休職してしまい、専業主婦だった妻はさして就労経験がない、という厳しいケースもあります。

給与所得の欠落を資産運用で補える富裕層であればまだしも、庶民にとっては健康を失い、給与所得が大幅に減少することは、貯蓄や保険その他で当面はしのげたとしても、いずれ経済的に破綻することがおおいでしょう。

そう思うと、運用益数万円の投資信託の選定に頭を悩ますぐらいなら、家内とおいしい梅酒(手作り)を飲み、家庭菜園で栽培した葉レタス、トマト、きゅうりのサラダ、おなじく自家製ナスの炒め物に舌鼓を打つほうが、健康的であり、家計経済的(節約)であり、また人的資本に経済的(健康余命向上に伴う期待所得上昇)でもあります。

健康的なくしてファイナンシャルプランなし、ですね。good

(導入剤マイスリー服用して書いているから、頭がボ~としてます。。。)

2008年4月29日 (火)

買いたいときは(2)

買物についての続きです。

小生つねづね、実物資産を買うとき(投資)と、消費財を買うとき(消費)とでは、購入の判断基準が違うのではないかと、考えています。

ここで実物資産とは、インカムゲインがあるか、あるいは売却等によりキャピタルゲインが得られるものです。不動産のように両方得られる資産もあれば、貴金属や美術品、アンティークのように後者だけが得られるものもあります。金融資産ほどには(中古)市場が整備されていないとはいえ、鑑定や交渉が適切に行われれば、ほぼその価値に応じた価格で取引されます。

他方、消費財は、もっぱら消費の用に供される対象であり、一度使われた瞬間に、価値が大きく損なわれてしまいます。自動車の場合はまだしも中古車市場が整備されていますが、それ以外の物となると、家電にせよ紳士服にせよ、質屋かフリマで二束三文で買い叩かれるのがオチでしょう。

ですから、資産の場合は、購入価格と利回り(あるいは収益及び復帰価格の割引現在価値の総計)を比較して、割安であれば高くても買い、ということになります。他方、消費財の場合は、とにかく安く買うのがよいわけです。

もちろん、資産購入といっても、小生のごとき庶民は、まずは市場価格と流動性が明快な金融資産(それも預貯金や国債、インデックス連動投信といった単純なもの)だけに集中すべきで、実物資産なぞまだまだ先の話です。アンティークや美術品となると、生涯縁がないでしょうねぇ。。。(嫌いではないのですが)

その意味では、資産と消費財の区別などしても仕方ないのですが、しばしば悩ましいときがあります。家電や家具、服飾や靴といった耐久消費財(適切な用語です!)を買うときがそれで、期間あたりのコストなどを考えてるうちに、頭が混乱してきて、ついブランド物や高規格製品に手が伸びてしまいます。

そんなときに、「これは資産か、それとも消費財か」と、自問自答するだけで、ずいぶん冷静になれます。そして、消費財であることを承知の上で、機会費用や必要税込み所得を計算した上で、それでも買わねばならないことを、まずは確認するわけです。

ただし、消費財を買うからには、できるだけ安く買う、という鉄則ははずせません。

そこで、いくつか工夫しているのですが、それは次回に。

2008年4月27日 (日)

不動産投資を考える(3)

ここ数日の『日経新聞』をみると、すわネガティブ・キャンペーンかとびっくりするぐらい、REITや不動産市況の悪化が報道されています。東証REIT指数もだらだらと軟調です。

そうなると、ついREITから手を引きたくなりますが、それでは 短期的投機 になってしまいます。実際、個別の上場REITは信用取引も可能なので、デイトレードによる売買もかなり多いのかもしれません。

しかし、そもそも小生がREITに関心をもったのは、株や債券と異なる値動きをする不動産資産クラスに投資することで、保有ポートフォリオのシャープレシオを向上させるため です。

すくなくとも過去のデータ(東証REIT指数は3年、S&P/Citigroup World REIT indexなら5年以上)を見る限り、国内外の株式及び債券との相関関係は低いため、ポートフォリオ効果を期待することができます。

また、ボーグルの箴言である「リターンではなくリターンの源泉に注目せよ」に従えば、不動産は家賃収入というキャッシュフローを生み出す点で、単なる需給(つまり投機)のみで収益が決するコモディティとは本質的に異なります。

ただし、REITの場合は株式以上に市場の効率性が疑わしいので(不動産会社や私募ファンドに優良物件を取られている可能性など)、できるだけ分散投資する必要があります。小生の場合、上記インデックスに連動する投信(STAMシリーズ)の購入にとどめ、個別REITは当面見送っています。

いずれにせよ、価格変動に一喜一憂するのでなく、ポートフォリオ全体のリスクとリターンに注目する習慣は、忘れないようにしたいものですね。

まぁ、レジデンス系REITの利回りが7%台をつけているので、投機したい気持ちもうずいてはいますが。。。(不良物件を処分して分配金成長率期待が向上すれば、価格上昇によるキャピタルゲインも得られるかもしれませんし、なにより地銀の投売りが相場反転のきっかけになるやもしれません。いっそ「ハゲタカREIT」でも設定されないかしらんdog

2008年4月26日 (土)

買いたいときは

日頃から、庶民には節約こそ最も効率のよい運用である、と確信している小生ですが、年度が改まってから出費がかさんでいます。買物にも発情期があるのかしらん。

というわけで、自戒をこめて、買物のコストを再検討することにしました。

第一に、機会コストです。要するに、買物をするときに、購入代金ではなく、そのお金をもっとも有効に使用したときに得られる収益をもって、買物のコストとみる考え方です。初級のミクロ経済学テキストにも出ている議論なので、経済学的には正しいコストの概念だと思います。

例えば、1万円の値段がついている商品を買うとき、1万円ではなく、その1万円を年5%で45年(小生の平均余命)運用したときのリターンである 9万円 と比較するわけです。

機会コストで判断すると、ほとんどの物は買えなくなるので、とてもありがたい教えです。贅沢するのは歳をとってからだ、という真っ当な結論になるからです。

(いまひとつ、運用下手になる手もあります。鶏と卵みたいですが、たしかに浪費を続ければ、なるほど資産はつくれません。)

第二の考え方は、税・社会保険負担の考慮です。1万円を使うためには、天引き前でいくら稼がねばならないか、と考えるやり方です。税理士さんなら習慣になっているかもしれませんね。

所得控除・税額控除を考える必要はありますが、30代~40代のリーマンなら、所得税・住民税・社会保険料で、少なくとも3割増しで考えるべきだと思います。1万円を使うためには、ざっと 1万3000円 ほど稼がねばならない、ということです。

いうまでもなく税率や標準報酬額が高い人ほど買物のコストが高くなるので、中年リーマンにはとくに有効 だと思います。ついでに税に対する意識も鋭くなります。

そんなわけで、小生も買物の前には機会コストや天引き前収入を思い出して、賢明な消費者になりたいと思っています。(と書いているうちに、予約注文していた「新エヴァンゲリヲンDVD」が入荷しました。しばらくは使徒迎撃を最優先しなければなりません。)

2008年4月25日 (金)

ボーグル本

年度明けから多忙でひさしぶりの更新です。

さて、ようやくボーグルの新著『米国はどこで道を誤ったか』(瑞穂訳、東洋経済新報社)を読み終えました。

インデックス連動型投信への長期分散投資を是とする小生にとって、インデックス運用の開祖というべき氏の著作はある種の「聖典」ともいうべきものなので、できるだけ読むようにしています。(とはいえもっぱら翻訳だけですが・・・)

さて、今回の書物ですが、読んでかなりの衝撃を受けました。株式会社も投資銀行も投資信託(会社組織のmutual fund)も、ついでに法律事務所や会計事務所も、いずれも受託者責任を放棄して、本来の受益者たる株主・投資家等々から巨額の利益を横領しているそうです。

それも、破綻したエンロンやLTCM、不倫騒動で巨額の「ステルス報酬」が発覚したあのJ.ウェルチだけでなく、米国を代表する企業や銀行、運用会社が、ずらっと「腐ったリンゴ」リストにアップされています。(書中には電子メールのやりとりまで引用されています。)

本書が告発するように、企業経営や財務諸表の作成、また投資信託の運用において、規制のないことをいいことに経営陣やファンドマネージャーが横領を続けるというのでは、アクティブかパッシブか、短期トレードか長期投資かといった投資スタイルを問わず、株式投資そのものが、愚かな行為となってしまいます。

これではもちろん、資本主義の否定となるわけで、かの世界大恐慌のフーバー大統領ですら、

「資本主義の問題はただひとつ、資本家だ。欲の皮が厚すぎる」

との箴言を残しているとのことです。(同書47頁から孫引き。)

書中でも紹介されるバーリ&ミーンズ風にいえば、経営者(機能資本家)が個人株主(所有資本家)とって代わり、企業統治が不全状態になる、ということでしょうか。

ともあれ、ボーグルは打開策として、専門家である代理人(経営者、銀行、ファンドマネージャー)の受託責任を厳しく問う、いわば「受託社会」を築くしか、アメリカ資本主義が力強くよみがえる方策はない、と結論づけます。

学術的な評価は分かれるかもしれませんが、アメリカ資本主義の病弊を描いたユニークな書物として、オススメです。(ついでに、聖書からデカルト、スミス、ケインズに至るまで、有名無名の箴言・格言に満ちているのも、心をくすぐります。)

2008年3月28日 (金)

不動産投資を考える(2)

前回は、REITという形でなら、個人でも不動産投資ができるかもしれないと考えましたが、

REIT自体が不透明かもしれない

という疑念が残ります。

本当に優良な物件ならば、不動産会社やデベロッパーが自ら所有すればよく(銀行も快く貸してくれるだろう)、なにも投資家から資金を集める必要はない、という理屈です。小生が愛読する山崎元氏の著作にも、度々そう言及されています。

もちろん、銀行にも不動産業にも関わりのない小生には、本当のところはわかりません。

ただ、不動産業者がREITを組成する合理的理由がないわけではありません。それは、

賭博では胴元が必ず勝つ

という原則です。

そもそも、所有にはリスクが伴います。

小生が持ち家に消極的になるのと同様、不動産業者も物件に係るリスクを負いたくないはずです(プロの自負と能力があるならキヨサキ氏のように所有してもよい)。

REITの場合、物件に係るリスクは投資家が背負ので、不動産会社(REITの管理運営会社)はノーリスクで、管理料等の収入を得ることができます。相場に関係なく信託報酬を徴収できる、証券会社・運用会社と同じ立場ですね。

もちろん、実際のREITは投資家の出資だけでなく、銀行からの借入によってレバレッジをかけているので、投資物件が劣悪であれば、不動産会社もただでは済みません。このことも、不動産会社が優良な物件をREITに組み込む根拠になりそうです。

REITはここ半年ほどで株式以上に価格が下落しており、予想利回りも軒並み4%以上になっています。最大手の日本ビルファンド法人でも、1口123万円、利回り3.2%と、ずいぶんお徳感がでてきました。

また、REITはそれぞれ投資物件に特色があるので、いろんな物件に投資したければ、 REITに連動した投信を買うこともできます。住信STAM J-REITインデックス・オープンがノーロードで信託報酬も年0.672%と一番安いようです。(イートレード証券だと1万円から積立可能。)

ついでに世界の不動産ということであれば、住信-STAM グローバルREITインデックス・オープンがやはりノーロード、信託報酬年0.861%で購入できます。世界の上場REITに投資するので、世界的なインフレヘッジにも有用かもしれません。

小生はすでに「スゴ六」でREITを組み込んでいますが、いずれ本格的な不動産投資を試みるときは、まずはREITへの出資から考えようと思います。間違っても「ワンルームマンション投資」の営業などにひっかからないよう注意しないと。

子供も増えたので、いつかは持ち家も欲しいですけど。。。(15年後ぐらいにキャッシュで買うのが理想ですが、インフレで値上がりしてるかもしれません。そのためのREITです。)

2008年3月27日 (木)

不動産投資を考える(1)

数日前になりますが、平成20年1月1日時点の全国の公示地価が発表されました。住宅地をみると、全国平均ではプラス1.3%ですが、地方圏は-1.8%。大都市圏でも東京都心部、なかでも中央区、港区、渋谷区の一部が大きく上昇しただけで、地価の二極化は止まっていないようです。(商業圏は二極化がさらに深刻です。)

小生は、不動産を所有することで様々な便益が得られるだろうとは思うのですが(例えば、自分に自信がつくとか、子供の発育によいとか)、経済合理性の観点から、当分は賃貸を続けることに決めています。

借金のなかでは最も利率が低いとはいえ、長期のローン金利は相当な額になりますし、そもそも自己資本の何倍ものレバレッジをかけて負債を背負うことの精神的ストレスは、少々の税額控除ではとても釣り合わないと感じるからです。

それでは収益用不動産はどうかといえば、やはり消極的です。ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん」シリーズでは、レバレッジ(銀行がカネを貸してくれる)や税の繰り延べなど、不動産投資の利点を強調していますが、「プロの世界」の話だというのが実感です。

不動産投資の一番の難しさは、物件ごとの相対取引なので、売買に際して適正な市場価格がわからず、流動性にも乏しいということだと思います。また、物件あたりの金額が大きいので、分散が効かないことも看過できません。

キヨサキ氏のようなプロであってこそ、良い物件を割安で手に入れ、いずれ高値で転売できるというものです。

ただ、インフレヘッジという点では不動産は魅力的ですし(需給のみで決する金や商品は危険すぎる)、資産の含み損益ではなく、現実のキャッシュフロー(家賃収入)が得られる利点は、市場が不安定な現状では、複利効果を弱めることを考えても、得がたいものです。

要は、①価格が透明、②流動性がある、③小額から分散できる、という条件さえ満たせば、収益用不動産への投資をためらう理由はないわけです。

そうすると、REIT(あるいはREITに関連した投信)に注目することになるわけですが。。。(続く)

2008年3月23日 (日)

健康第一

小生も含めて多くの投資家が資産を溶かしているこの間、負け惜しみをいうつもりは全くないのですが、人的資本を強調する記事を書いてきました。身も蓋もない結論ですが、要するに、「サラリーマンにとって最大の資産は自分自身であり、最大の運用は働くことだ」というわけです。

ですので、経済や金融の勉強も大切ですが、それ以上に自己啓発や健康増進を重視すべきということになります。なかでも健康はすべての基なので、サラリーマンたるもの、武士が刀剣を不断に手入れしたごとく、自身の健康の保持増進に努めるべきでしょう。

小生は陸上部出身なので心肺機能はかなり高いのですが(フィットネスクラブで何度か驚かれた)、とくに上半身の筋力が弱いせいで、運動すると簡単にへばってしまいます。

先日も学生とボウリングに興じましたが、4ゲーム目は 10ポンドのボールをレーンに置くのがやっと で、もちろん悲惨きわまりない点数でした(アベレージ98)。しかも、一日たった今でも右手の握力が回復しません。明日からは間違いなく筋肉痛です。

とはいえ、公私ともに多忙な中年リーマンに、運動に充分時間を割く余裕はありません。通勤や職場、家庭のなかで、あれこれ工夫して、心身を使う必要があります。ちょうど手元に湯浅景元氏の『簡単エクササイズ』シリーズ(岩波書店)があるので、この際じっくり読み直して、健康増進を心がけようと思いました catface

2008年3月20日 (木)

人的資本はヴァーチャルか?

先の記事で、正規雇用のサラリーマンはすでに億万長者だと述べました。しかし、そんなものはただの空論で、現実に所有する資産だけが本当の財産だと反論する方もいると思います。

実際にリストラや失業したときは、短期間ですが雇用保険の基本給付も受給できるし、親からの援助もアテにできる場合も多いでしょう。会社倒産なら未払給与が債権になりますし、短期であれば銀行やクレジットカードのキャッシングで凌ぐこともできます。これらも有事の際の資産とみなすことができそうです。

とはいえ、身内からの援助は別として、いずれも数十万から百万円単位であり、やはり資産とくに金融資産をもって、現実の財産と考えるのは正しいように思えます。

しかし、それでは、預貯金や有価証券は、本当に現実の(リアルな)資産と言い切れるのでしょうか。

株式がゼロになるリスクを負っていることは誰でも知っていますが、会社が倒産するぐらいなら、国家だって破綻するかもしれません。日本国が破産すれば、不換紙幣である日本銀行券は紙切れとなり、日本銀行券を担保とする預貯金等の金融資産も無価値となります。国債や社会保険の受給権も、債務者たる日本国が自己破産すればそれまでです。

だからといって、金や不動産といった実物資産なら安心かといえば、そうとも言い切れません。実物資産に対する所有権は、ほかならぬ国家によって保障されているにすぎないからです。実際、敗戦や革命といった体制転換に際して、しばしば無政府的な収奪が生じることは、どこでも確認できることです。

もちろん、国家や体制というものはそう簡単に破綻することはありません。小生も他の人々も、不安もなしに日本銀行券をやり取りし、あるいは財産権を明記した日本国憲法に安心して、枕を高くしています。

ただ、論理的に言えば、「現実の資産」とされる金融・実物資産も、国家という人為的・歴史的に作られた仕組みによって保障されたものにすぎず、前提がなくなれば一緒に消滅してしまう、「ヴァーチャル」なものだといわざるを得ません。

そう考えれば、人的資本の源泉をなす知能・技術・経験・人脈などは、いずれもその人個人と一体であり、たとえ会社が倒産しようが国家が破綻しようが、誰にも収奪することはできません。むしろ、そうした激動の時代においてこそ、各人の能力が最大限に発揮され、次の時代を構築してゆくように思います。

ですから、最期まで現実的な財産は、実は自分自身である(自ら恃む)、ということになります。その意味で、とくに若いうちは、小金を貯めずに、積極的に自己投資しなさい、という教訓になるわけですね。

そういえば、日銀総裁が不在でも、紙幣の流通に不都合はないのでしょうか。日本銀行券には総裁印が捺されており、紙幣が国民に対する日銀の借用証書であることがわかります(日銀のBSでも発行紙幣は負債勘定に計上されます)。普通であれば、借入者のいない借用証書は無効になると思うのですが・・・

2008年3月17日 (月)

サラリーマンはみな億万長者

いきなりの円高に世界同時株安と、底の見えない金融不安です。さぞや怖い思いをされた方もいると思います。(小生の知人もFXで血を吐いたそうな。。。)

まぁ、相場暴落時には価格変動のボラティリティも資産クラス間の相関係数も吹っ飛ぶのが常ですから、できるだけレバレッジ率を下げてじっと待ち、下手な空売りなぞしないのがセオリーだと思います。余裕があれば好きな銘柄をそっと買い増すのも一案でしょう。

淡々とバランスファンドを積み立てるだけの小生の場合、今月の積立ファンドは安く買えたなぁとのんびり喜んだりしてますが、それでもなんとなく、スタグフレーションの気配も感じて、少々嫌な気分ではあります。

そこで、小生は、この間の勉強を生かして、

自分は、億万長者である!

と思うことにしました。

べつに変な悟りをひらいたわけではありません。前回紹介した橘玲氏の人的資本論にもとづけば、小生はすでに、

数億円の円建て債券を持っている

はずだからです。

もちろん、正規雇用で年収が比較的安定している給与生活者は小生に限らないので、そうした方々に対しても、

お前はもう、富(と)んでいる!

とキメ台詞を放つこともできます。

これは心の支えになります。たとえ相場急落で数百万円損したところで、数億円の人的資本に比べれば微々たるものですからね。

そのうえ、生活防衛資金を現実の預貯金のかたちで持てば、二重に安心です。小心翼々たるカズプーも、落ち着いていられるというものです。もっとも、数百万円も損するほどに投資できていませんが。。。 orz

問題は、頼みの人的資本が、いずれ停年によって強制的に価値破壊されることです。(運が悪ければ、リストラや会社倒産、チカン冤罪でも。)

ですので、遅くとも停年までには、架空的な人的資本を現実の金融資産に変換しておかねばならない。結局のところ、しっかり稼いで節約し、年金や物価の動向にも注意を払いつつ、30年かけて金融資産を築きましょうと、いつもの結論に落ち着くのでした。嗚呼。

2008年3月14日 (金)

賢者の海外投資術

橘玲氏の新著『賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)を読みました。『臆病者の株式投資』『マネーロンダリング入門』の内容をさらに掘り下げるとともに、人的資本に基づく「究極の投資」や「ミセスワタナベ」(FX)など、新たな議論もあって、興奮しながら一気に読み終えてしまいました。ちょっともったいないかな。

また、小説『マネーロンダリング』『永遠の旅行者』を髣髴させる序章「さよなら、プライベートバンカー」も、短編ながらかなり印象的です。家内も氏の小説が大好きなので、序章だけでも読んでくれるかもしれません。

橘玲氏の議論を紹介しだすと記事が幾らあっても足りないので(氏の著作に当るのが一番よい)、「究極の投資」だけを簡単に紹介します。

「究極の投資」とは、お金持ちだけの「至高の投資」に対抗するための、庶民でも実行可能な投資法です。(要するに『美味しんぼ』ですな)

ここで大事なことは、「究極の投資」は、決してデイトレや集中投資ではなく、至高の投資(プライベートバンクや機関投資家がもつポートフォリオ)と同様の投資法である、ということです。つまるところは、異なる資産クラスへの分散投資ということです。

問題は、例えばお金持ちが数十億円(機関投資家なら数十兆円)の資金を投資しうるのに対し、庶民はせいぜい数百万円の現金しか手元にない、ということです。数百万円でも投信やETF、REIT等を組み合わせることはできますが、仮に年平均5%で回せたとしても、30年では5000万円にもとどきません(元本は4倍になるとはいえ)。

この課題をクリアするのは、人的資本という架空の資産です。

人的資本は、要するに年収を利子ないし配当とみて、そこからその人の価値(人的資本)を逆算したものです。例えば、年収500万円で、利回り5%とすれば、人的資本は1億円(500万円÷0.05)になります。

人的資本はあくまで架空の資産ですが、給与所得は毎月確実に一定額が見込める点で利子と同様であり、かつ、日本では正規職員は簡単にはリストラできないため、元本の安全性も比較的高いといえます。さらには、停年時には退職金という形で元本(の一部)が償還されます。

以上の理由により、人的資本は資産クラスでいえば 「債券」 に相当する、と橘氏は結論付けます。

さらに、給与は大半が円で支払われるので、日本の給与生活者の人的資本は、大半が 「円建て債券」 に分類されることになります。

と、ここまでの分析で、すでに小生は感嘆するのですが、「究極の投資」のメインディッシュはここからです。

「至高の投資」では各資産クラスに適切に配分(アロケーション)しているように、「究極の投資」でも、適切なポートフォリオを組まねばなりません。しかるに、庶民のポートフォリオは、先の例でいえば、1億円の「円建債券」と、数百万円の円建預金があるだけです。

ですから、論理的には、

人的資本以外の全資産を、10倍程度のレバレッジをかけたうえで、海外資産に投資せよ

ということになります。

そして、本書で紹介されているように、株価指数先物を使えば、実際に構築可能です(シカゴ商品取引所で取引されているS&P先物(ミニ)3枚にEAFE先物1枚を使えば、200万円ほどあれば、レバレッジ10倍で「世界株式ポートフォリオ」を保有できる。)

運よく、相場の暴落で元本消滅という事態に一度も遭遇しなければ、20万ドルの世界株ポートフォリオを回すわけですから、30年後に1億円、という数字はあながち空想でもありません。(定期的に元本を追加できれば、レバレッジも抑えることができ、なお実現可能性が高まる)

まぁ、レバレッジ10倍というのは、指数が10%下落したら元本が消滅する(その前に追証がかかる)、という恐ろしい状態なので、チキンなカズプーには絶対にできません。もちろん橘氏も、実際に勧めているわけではないです。

ただ、元本を400万円にしてレバレッジを5倍にすれば、バランスシート上は何のことはない、住宅ローン と同じなんですね。

だから、住宅ローンを組める気概のある方は、「究極の投資」だってできるかと思います。そしてリスクを怖れず挑戦した庶民の中から、億万長者が生まれるのかもしれませんね。

もちろんレバレッジ1倍でロングポジションオンリーの小生は、どちらもできません。すなわち、橘玲氏のせっかくの教えも豚に真珠というわけです。。。pig

2008年3月 9日 (日)

電子申告

悪戦苦闘の末、所得税の電子申告をようやく完了しました。

いろんなブログなどで書かれていますが、機材や住基カードの用意からはじまって、IEのJava設定、公的認証はじめ送信時の操作、さらには申告書控え印刷のためのe-Taxソフトの利用など、よくもまぁ、これだけ面倒くさくしたなぁと、逆に感心した次第です。

ネットワークも所得税制についても多少知識のある(と自負する)小生ですが、結局、電子申告のために、半日まるまるつぶしました。あまりパソコンに明るくない方だと、税務署に行って操作法を聞かないと分からない、という妙なことになるやもしれません。

小生の印象では、便利なのは確定申告の作成フォーム(数値を入力すれば自動で追徴額を計算してくれる)だけです。普通の給与生活者ならば、フォームで作成したものを印刷し、必要書類を添付して税務署に郵送するほうが、ずっと早いと思います。

それにしても、この時期になるとつくづく思うのですが、どうして日本では、

納税

と呼ぶのでしょうか?

社会連帯の証として必要な負担をすることにやぶさかではありませんが、道路問題にせよ社保庁問題にせよ、納めた税金が適切に用いられているかいささか不安な現状では、

徴税

と呼ぶほうが適切だと思います。(序に追徴も 追懲 と呼びたいところです。)

ただ、日本国憲法30条の「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。」という文言は、じつは大日本帝国憲法21条「日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有ス」と全く同じです。

ですので、「納税」という語自体が、臣民の義務 という意味をもつのかもしれません。

どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら、ご教授ください。pig

2008年1月24日 (木)

相場の急落時は

しばらく更新をお休みしているうちに、日経平均はじめ世界中で株価が大幅下落しました。日経新聞なども連日悲観的な記事や特集を組んでます。もしかしたらITバブル崩壊並みの大幅調整になるのかもしれません。

当てにならない将来予測はともかくとして、個人として小生がいますべきことは、

相場を気にせず本業と家族サービスに邁進!!

最初にアセットアロケーションを組んだ時点ではじいた最大損失額からすればまだまだ想定の範囲内ですし、そもそも投資目的が30年後の老後資金(年金不足補填)ですので、難平買いも現先取引も必要ありません(やったところで「踏まれる」だけでしょうが・・・)。

相場に関係なく、国内外の株式及び債券インデックスファンドを淡々とドルコスト平均法で積み立て、年末にリバランスを実施するだけです。

教育資金と老後資金に目処がつき、「人生の引当金」の繰入が完了した暁には、より投機的な運用でアップショットを狙うこともできますが、ずいぶん先の話です。30代はだいたい3000万円ほど年金が足りないそうなので、運用期間30年、年利回り3%(信託報酬及び税引き後)とすれば、一括で1236万円、積立なら毎年63万円(元本1890万円)を投資せねばなりません。。。

いずれにしても、金融関係者ではない小生にとっては、短期的な変動はとくに気にする必要はない、ということです。

(序に言えば、米ゼロクーポン債などはいい感じで値上がりしており、一方的に含み損が拡大するわけではありません。これも分散投資の賜物ですね。)

2007年12月15日 (土)

インフレの到来?

ガソリンや灯油、食料品などの値上げがマスコミをにぎわせていますが、企業物価指数(昔の「卸売物価指数」ですね)は3年前からすでに上昇に転じていたことを、深野康彦『家計崩壊』(講談社+α新書)で知りました。

同書の副題にも「『見えないインフレ』時代を生きる知恵」とあり、これからは金利・物価動向に機敏に反応した戦略が必要という主張とあわせて、勉強になりました。預貯金等の元本重視部分についても、長短金利の両方に配慮した預金の「半々プラン」を提案するなど、なかなか面白かったです。

たしかにネット定期の金利が年1%を超えてきたので、プロの間では、近いうちに急な金利上昇を見込んでいるのかもしれません。(ローゼンメイジャーさん、どうなんでしょうか。近くの地銀も「3年定期積金」に年1%を提示していたので、ちょっと驚いています。)

また、金利変動に応じたアセットアロケーション(とくに株式比率)のダイナミックな見直しという主張は、平山賢一『ハートで感じる長期投資の始め方』でも強調されていた視点で、資産形成世代の小生にとっては参考になります。金利や物価に注意を払い、景気変動の大きな波にうまく乗らねば資産は作れない、ただホールドするだけではダメだというのは、その通りです。

その通りですが、小生の場合、長期金利は株価と同じく「先行指標」であり、よって素人には予見できないと考えているので、投資効率が悪くとも、淡々とドルコスト平均法で積み立てるしかありません。(あるいは、「さわかみ投信」などに運命を託す手もありますが。)

もっとも、不況のなかでの物価上昇となれば、これは資本主義経済で最も恐ろしい「スタグフレーション」の到来を意味します。デフレ不況時代ならば預貯金中心でもOKですが、スタグフレーションになると、インフレに負けない投資が生き残りに不可欠となります。しかし、1970年代の米英がそうでしたが、不況ゆえに株価指数はなかなか上がらず、商品や為替が投機的に動くことになります(すでにそうなってますね、世界の投資家はとっくに折込み済というわけですか)。

預金とパッシブ運用しか知らない小生にとっても、難儀な時代になりそうです。やっぱり本書を繰り返し読んで、ダイナミックな長期投資の練習を積んだほうがいいのかな。。。

2007年10月28日 (日)

究極の投資本

やや古い本ですが、以前から探していた橘玲『得する生活』(幻冬舎)を古書店で見かけたので、早速購入しました。著者には『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』『臆病者の株式投資入門』などの名著があります。

さて、本書を読み進めると、クレジットカードやらファイナンス(借金!)やらをめぐる合法的な裏話がこれでもかとばかりに紹介され、知ると知らないとでかくも巨額の損得が生じるのかと呆れるばかりです。

「得する生活」ときくと、底値買いの方法とか、水道光熱費の節約とか、そういった毎日の節約を連想しますが、この著者はそんな甘っちょろいことは述べません。

本書でいう「得する生活」とは、制度のゆがみ(アノマリー)を見出し、それを合法的に活用して超過利潤を得ることです。リスクフリーによる超過利得なので、すなわち究極の投資法だといえます。

ゆがみを活用するというと、なにか倫理にもとるように感じますが、これは一種の「裁定取引」ですから、大勢の人がマネすれば解消し、市場と制度の効率性を向上させます。ですから、著者の主張は、決して反倫理的ではありません。

ただ、そうはいっても、平凡な給与生活者には制度のアノマリーを探すこと自体が困難です。下手に実践して法に抵触でもしようものなら、最低の取引になってしまいます。

そういう意味では、仕組みの裏側を知り、世間には賢い人が多いなぁと感心するぐらいの位置づけで、つまり娯楽として楽しむのが、本書の無難な読み方かもしれません。

ただ、娯楽としても情報量は半端ではありません。小生も、なぜカードでJRの切符を購入すると「C制」とスタンプが押してあるのか、本書をよんでよく分かりました。

2007年10月23日 (火)

マネータイプ

気分転換に『ダチョウはなぜ金儲けが苦手なのか』(グッドマン,谷川訳,文藝春秋)を読んでみました。タイトルと表紙イラストはコミカルですが,内容はいたってまじめです。

人間は必ずしも合理的に行動しない,というか,むしろかなり系統的に偏った行動をするとは「行動ファイナンス」の教えるところですが,本書はさらにすすんで,お金の扱い方を複数の類型へと分類します。そして,それぞれの「マネータイプ」の長所と短所を,具体的な事例(著者はFPです)を交えて,わかりやすく解説しています。

見栄っ張りだが起業家むけの「ダチョウ」

慎重派だが現状に満足してしまう「カメ」

お金を使うのがこわくてしかたのない「リス」

などなど。

小生はもちろん・・・

リス 

でした。

げっ歯類はわりと好きですが、マネータイプもそうだとは発見です。ちなみに家内は「カメ」で,なるほど幸せそうにおやつをほおばってます。

うーん。丸善の舶来物フェアーでものぞいて少し贅沢してみようか,などといつにない反省をするこの頃でした。

秋の夜長にどうぞ!

2007年10月15日 (月)

未払所得税住民税勘定

出張続きで久しぶりの更新となりました。10月も半ばとなり今年もあと少し,だんだん今年の年収が幾らになるか気になってきました。ついでに確定申告も頭にのしかかります。

小生は給与生活者ですので,本来は申告不要で済むはずなのですが,仕事柄,複数の事業所から給与を受けたり,雑所得を得たりすることも多いです。そのため,例年2月半ばはバレンタインよりも確定申告でドキドキしています。

ドキドキといってもうれしいほうではなく,「いくら追い銭を取られるのか?」というハラハラする方です。住宅ローンなどもないため,還付されることはまずありません。毎年少なくとも数万円は追加納税しています。預金口座にゆとりをもたせているので実際に困ることはありませんが、なにかと出費の多い3月の納税は、精神的にとてもイヤなものです。

そんなわけで,家計簿ソフトの貸借対照表部分に工夫してみました。名づけて「未払所得税・住民税勘定」です。

こんな勘定科目があるかどうか知りませんが(未払法人税,未払法人住民税は簿記2級の出題範囲です),予定納税を求められる法人にならって,確定申告後の追加納税額を予め見込んでおき,収入から控除するわけです。

具体的には,他事業所からの給与や雑所得を得たときに,源泉徴収額や必要経費(とりあえず雑所得の30%),自分の税率を勘案した上で,予想される追加納税額を未払所得税・住民税科目(負債勘定)に計上します。

もちろん実際には納税前なので,銀行なりMRFにおくことで,わずかといえども利子・配当所得も発生します。ですので,本当はキャッシュフロー計算書を作成すべきなのでしょうが,残念ながら「家計簿ソフト」にそこまで求めるのは酷です(かといって一介のサラリーマンが青色申告可能な会計ソフトを購入するのも大げさです)。

まぁ、3月にガバッと税金をとられて嫌な気分をしないために,予め税金分を引いておく,という精神安定剤的な役割がメインなわけですが,納税額を常に考える習慣を身につけておくことは,将来もっと資産や所得が増えたとき,あるいは(多分ないでしょうが)起業でもしたときには,役に立つとも考えています。

人生の引当金やら未払税金やら,負債(性資産)勘定ばっかりやと笑われるかもしれませんが。。。

2007年10月 6日 (土)

お金の現実(3)

浪速健男児さんのコメントをみて、はっと気づきました。

>この本は単なる『お金の話』ではなく人生の指南書ともいえる内容ですね。

そうです。その通りです。

しがない給与生活者で、とくに大きな野心もない(しかし善良な)小市民たる小生が、分不相応にも「お金」について考え勉強してきたのは、天下の富豪を志したわけでもなければ,アーリーリタイアを希望するからでもありません。まして贅沢三昧のためではありません(浪費を望むようでは絶対にお金持ちにはなれませんが)。

小生が「お金」について勉強したのは、ただひとつ。家族の生活を堅実に守り、身内や友人知人、同僚などと愉快に過ごすため、です。

あるいは,そうしたささやかな幸福を自分の力で実現したという喜び、家族や身内にお金のことで心配や苦労をかけなかったという満足感、そうしたものを人生の最終版でえるため、といってもいいかもしれません。

ですので、浪速健男児さんが喝破したように、小生は、お金の話を生き方の問題として、考えてきたのかもしれません。

もっとも、人生の問題を何よりもお金の問題として考えねばならないということ自体、ある種の歪みをはらんでいるように思います。

本来ならば、自助と共助と公助とをバランスよく勘案して、もっと気楽に人生を楽しめばいいのでしょうが、残念ながら日本では、公助のゆくえが実に心もとない。失業、医療、教育、年金・・・と考えると、どうしても自助を強調せざるをえない。

小生がお金、とくに生活防衛資金=人生の引当金の積立を強調するのは、そのためです。決して共助や公序を軽視したり敵視したりするからではありません。実際、毎年確定申告して税を納めてますし、複数のNPO等の理事もしていますので。

それでは、引当金を十分に積み立てた後はどうするか?

漠然としたイメージはあったのですが、しかし二人目が誕生した瞬間から、新たに1000~1500万円の積立が必要になるわけで(学資のみでも数百万円は必要)、積立後の話など夢のまた夢と消えました。

そうこうしてるうちに50になり60になり、老後を迎えるのだろうなぁ、と考えると寂しくなるので、年に何回かは家族で旨いステーキでも食べることにします。

2007年10月 3日 (水)

お金の現実(2)

前回の続きです。

岡本吏郎『お金の現実』を読んでとても面白いと感じたことの一つに,「労働寿命」という考え方があります。端的に言うと,何歳まで働くことができるか,ということです。少し引用します。

「仕事のできない人は,若くても仕事がなくなる。ルーチンワークはコンピューターとパートタイマーで間に合ってしまう。逆に,仕事ができる人には停年はない。本人が選択すれば死ぬまで働くことができる。長く働けば,富を得られるのは間違いないが,誰もが自らの意思で働き続けることができるかどうかは別の話だ。」(188頁、引用終わり)

一流の人はいつまでも働くことができ,結果として富も得られるが,そうでない人は,早晩リストラの憂き目にあい,富どころではなくなってしまう,というまたもや見も蓋もない真実です。

この議論の系として,だからサラリーマンは少しでも長く働くために全力で本業に打ち込まねばならない,副業だのアーリーリタイアメントだのはもってのほか,という主張もみられます。これも印象に残った部分なので,引用します。

「ちなみに,最近,「週末起業」というのが流行っているらしいが,こういうものが流行るのは今が初めてではない。昭和初期にも流行っている。しかし,そのブームはまったく歴史に残っていない。・・・(中略)・・・くれぐれも,目の前のお金に目を奪われて人生を誤らないことだ」(186頁)

「どんなに一時大稼ぎができたとしても,長時間働くことができる人間にかなうことはない。最近は,早めのリタイアが流行しているらしいが,そんな考えがナンセンスであることは,1800年代にヒルティが喝破している。」(189頁、引用終わり)

いや,ホントすごいです。つくづく著者の言うとおりなんですね。運用はある程度の資産規模になってはじめて意味をもつのであって,せいぜい元本数百~数千万円から得られる運用リターンなど,たしかに年収にはるかに及びません。だから,かの橘玲氏も,「サラリーマンにとって最良の運用は働くこと」と指摘しているわけです。

見方を変えれば,本業に打ち込むということは,仕事の実力を蓄えることに他なりません。目先の小金ではなく,将来にわたる大金のために実力を蓄えるという考えは,なるほどもっともです。

まぁ、本多静六ぐらいのレベルになると,本業の足しになるアルバイトにも精を出すべきだとの教えもありますが,これは本業で実績を残した方の話。小生のごとき実績なき給与生活者は,利殖は節約とインデックス投資で済ませ,仕事にもっともっと精を出すべきだと思いました。(エヴァを買ったりブログを書いたりしてる場合か,というツッコミを受けるかもしれませんが。。。)

2007年10月 2日 (火)

お金の現実

ここ一月ほど,スキマ時間を利用して岡本史郎『お金の現実』(ダイヤモンド社)を読んでいました。たまたま本屋で見かけたのですが,装丁や紙質、字面などの印象がとてもよく,ぱらぱらと読んで感じ入るところもあったので,新刊でないにもかかわらず,そのまま買ってしまいました。(購入予定の新刊書や仕事関係の本以外は、まず新古書店で探すようにしているので、小生には例外的な行動です。)

一時間ほどで一読し、それからスキマ時間に繰り返しゆっくり読んだ(噛んだというべきか)のですが、文章は平明で、主張も明快。曖昧なところがひとつもなく、お金について淡々といろんな角度から論じています。

好きな部分はたくさんあるのですが、ここ数日気に入っているのは,「凡人は夢を見ない」というくだり。ちょっと引用すると、

「凡人に一番簡単な手が,「使わずに貯める」方法であるのは間違いない。これを言ったらおしまいよという感じだ。しかし,凡人が夢を見るのを止めて現実的に生きると,そこには非凡な結果が待っている」(170頁、引用終わり。)

お金を貯めるのに別に難しいことはいらない。精一杯稼いで,できるだけ貯金する。そうすればいずれお金持ちになれる。以上。

もちろん筆者はプロの税理士として,資産運用や節税といったノウハウも豊富です(『会社にお金が残らない本当の理由』(フォレスト)などで少し紹介しています)。ですが,しっかり貯金もできないのに,奇跡的な方法でお金を貯めようなどと虫のいいことばかり考えていてもダメだ、という見も蓋もない主張は、誰も否定し得ない真理であるだけなく,世にあふれる「株で○億円」「不動産で脱サラ」という類の「うまい話」から身を守る上で、とても有益だと思います。

著者の見解を盲信するわけではありませんが,小生もまた,生活防衛資金(生活費2~3年分)+人生の引当金(当面は子供の学費×2)をためるまで,目一杯働きつつ節約に努め,家族一同気を揃えて未来の光明を信ずるのみ,であります。

・・・EvangelionのDVDを買ってしまったことの反省文でした。(娘が「残酷な天使のテーゼ」を折に触れて口ずさむので、つい・・・)

2007年9月29日 (土)

リスクと不確実性

ふと,昔なにかの本で,リスクと不確実性は違うという文を読んだことを思い出しました。その本ではたしか,リスクとは起こりうる事象を確率的に予測できるもの,不確実性とはそうした予測が不可能なもの,と書かれていました。

もちろん,予測の精度が問題になりますし,人間は12通りの事象を考えるが,実際に発生するのは13番目だ,などという失敗学の箴言もあったりして,現実にはこうした2分法ですっきり割り切れるわけではありません。

ただ,小生が気になったのは,予測精度という客観的な理由ではなく,両者の区別が主観的な原因で生じるケースです。つまり,その気になれば予測しうるリスクなのに,まったく考えないがゆえに,不確実性にとどまっているような場合です。

たとえば,給料が定年まで上昇するだろう信じ込み,35年の住宅ローンを組んでしまった平均的サラリーマンの場合,突然リストラされたり病気になったりしてローン返済に行き詰まることは,本当に不確実性でしょうか。

特段の調査をせずとも,「平均賃金さらに減少」「年収200万円以下が1000万人突破」などという報道はすぐに目にとまります。自分の失業確率を計算することは難しいとしても,自分が失業する事象を想定して対処することは,リスク認識の第一歩です。

そして,仕事に全力を尽くすとともに,自己投資を通じて自分の市場価値を高め,さらには失業に備えてしっかり生活防衛資金を貯蓄することで,失業しても今の生活を維持できるようにする。これは,厳密な意味で,「自家保険」といえます(保険がリスク認識があってはじめて成立することは,言うまでもないでしょう)。

もちろん,将来に対してあまりに悲観的になりすぎるのも問題ですが-山崎元氏は「ネガティブ・シンキング・グズ(NTG)と命名しています-,現在と将来のリスクを全く考えずに時間とお金を浪費する「ポジティブ・シンキング・バカ」(PTB)に比べれば,周りに迷惑をかけないだけマシだと思います。

少々グズ(NTG a little)でも,責任感を持って自分と家族の生活を防衛することが,社会人として何よりも大切だということに異論はないでしょう。だとすれば,仕事や健康,防犯,運用,子供の教育など,いろんなことを学び,自分の頭で考えることで,人生の不確実性をリスクに変えてゆく努力をすべきではないでしょうか。

1999年のハルマゲドンも2000年のセカンド・インパクトも生じませんでしたが,毎年確実に1歳ずつ年をとり,子供は大きくなり,公的年金は危うくなってゆくのですから。

2007年9月22日 (土)

投資信託の良書出る

インデックス投資派(パッシブかつ長期投資派)に朗報です。別冊宝島1477「だまされない投資信託の選び方」(宝島社,1200円)が本日発売されました。

巻頭に山崎元氏,後半に内藤忍氏,そしてαブロガー3賢者の鼎談と,非常に贅沢な執筆陣です。内容もインデックス投資法のイロハを具体的商品名まで含めて丁寧に解説しており,これ一冊で株式投資の学習は終了,といっても過言ではありません。

しかも,ご丁寧なことに,投資本良書リストまで掲載されており,さらに深めたい方にとっても便利です。(掲載文献は,小生もすべて何度も読み返した本ばかりです。一冊加えるとすれば,木村剛氏の「投資戦略の発想法」(アスコム)でしょうか。)

インデックス投資法は,要するに世界経済の成長の尻馬に乗る投資法ですが,分散投資によるリスク軽減効果が得られる一方,銘柄選定や売買タイミングの判断も不要といったメリットがあります。短期間で爆発的に資産を築くことはできないものの,無理せず堅実に資産を増やそうという方には向いています。

独身の20代なら失うものもない(最悪でも自己破産ですむ)ので,桶狭間の合戦よろしく,高いレバレッジをかけて勝負を挑むのも一興ですが,小生のごとく所帯持ちでミスできない中年男であれば,インデックス投資で気長に待つのがよいと考えます。

もっとも,北陸攻めで浅井長政が裏切ったように,万全に思えるインデックス投資法で臨んでも,失敗することはあります。まさにバブル崩壊後の日経平均がそうなのですが,経済が長期停滞すると,インデックスに連動した資産も同じように停滞し,目減りします。

それだけに,収入の向上や複線化を図るとか,資産の一部をあえて運用しないとか(相場急落時には預貯金が精神の安定をもたらします),そういった対策も必要なわけで,とにかくインデックス投資をすればいい,というわけではないことにも,注意しなければならないと思います。

ともあれ,投資に興味があるがまだよく分からない,という方にはオススメです。

2007年9月18日 (火)

医療保険のコスト

本日付(2007年9月18日)の日経新聞で、「医療保険の「原価」初公表、大手生保4社は30%台」という囲み記事に目がとまりました。

ここでいう「原価」(発生率)とは、支払った保険金や給付金を保険料収入で割ったものだそうで、保険料に占める純保険料の比率を言い換えることができます。その数値が、国内大手4社(医療特約)で31-38%、外資系2社(終身型)で20-23%だそうです。(終身型は当初に大目の保険料をとるので数値が相対的に低くなる。)

純保険料の比率が20-30%台ということは、保険会社の利益や人件費、宣伝広告費などの「付加保険料」が7割から8割に達するわけで、これをそのまま受け取るならば、民間医療保険はとんでもないぼったくり商品、ということになります。

まぁ、発生率の計算は技術的にいろいろあるでしょうから、実態はもう少しマシかもしれませんが、それにしても、投資信託選びの際には小数点以下の信託報酬であれこれ考えるわけですから、保険というのは実に豪快な、いっそ天晴れな金融商品です。

小生は義理と人情でいくつか加入していますが、「保険ははいるだけ損」というのが本音です。30代後半の人間が1年以内に死ぬ確率は約0.1%(簡易生命表による)。仮に遺族のために3000万円必要とし、預貯金が0円であったとしても、期待保険料は年間3万円、月2500円。掛捨ての共済でも十分です。

かつて山本夏彦は、保険会社は外交員(生保レディ)の膏血を搾り取って成り立っていると喝破しましたが、今日では被保険者からも吸血しているのかもしれません。

念のため。保険という仕組みは不確実性に立ち向かうための人類の叡智であり、複式簿記と並ぶ偉大な発明だと思います。それだけに、純保険料と付加保険料の開示、親族への営業制限等、きちんとした規制が必要だと思います。

(とはいえ、社会保険庁のスキャンダルをみると、政府もまた、保険を国民収奪の道具としか見ていないようです。一体どうなっているんでしょうか、わが国の資本主義は。)

2007年9月12日 (水)

債券投資

あっという間の株価急落と円高によって,小生の運用資産もしたたかダメージを蒙りましたが,それぞれ時価を確認していくと,債券とくに外債クラスが思ったほどには低落しておらず,やや意外でした。

そこで,10年物米国債の利回りを調べると,いつの間にか4%台前半にまで下落しています。(http://finance.yahoo.com/q/bc?s=%5ETNX&t=6m&l=on&z=m&q=l&c=)

債券の利回りが低下するということは,時価が上昇しているということに他なりません。小生の場合、利回り5%台のときに購入したので,円高に伴う為替差損を債券価格上昇が補う形になっているようです。

本日(9月12日付)の「日経新聞」の夕刊では,1面に「株→債券シフト鮮明」との囲み記事が掲載されていますが,株価下落時には債券価格が上昇する(利回りが低下する)という教科書的な図式を,いわば実体験することができたわけです。いつも上手くいくとは限りませんが,凡人には分散投資こそが王道だとしみじみ感じています。

ただ,残念なのは,国内債券クラスが個人向け国債(10年・変動金利型)だけのため,債券価格上昇の恩恵を全く受けておらず,従って株安の分だけ損失を出しているということです。国内は利上げだと根拠もなく信じていたためですが,株価どころか金利の予測だって,とても難しいですね。。。(その点,小生の話を聞いて春先に個人向け国債・5年固定金利型を購入した家内のご母堂の方が巧みです。年の功かな?)

今月号の「月刊ファイナンシャルプラン」も債券投資を特集しています。じっくり勉強してから,後日報告したいと思います。

2007年8月19日 (日)

勝敗はどちら

なかなか夏風邪が直らず、うっとうしい毎日です。今週末は三重県赤目の温泉旅館にて友人知己と旧交を温め、ついでに温泉療法も試してみたのですが、一向に軽快しません。風邪にはやはり安静と睡眠が何よりと痛感しました(とかいいつつブログを書いたりしてますが。。)

その温泉地にて、ある年配の方(失礼!)から、何の前触れもなく、「老後はいくら要るのか?」との質問をうけました。数年前までは、小生がライフプランの重要性を語るたびに、カネなど何とでもなる、と反論する方だったので、かなり面食らいました。(教育資金準備について触れたときに、ニートになったらどうするの、とつっこまれ、閉口したことを覚えています。)

心境の変化には、年齢面(先方は最近50代になった)も含めていろいろあるのでしょうが、しかし小生が瞬間的に思ったのは、決して口に出しませんが、だから言ったでしょう、やっと気づいたか、ということです。勝利のラッパが脳内で鳴り響きました。

温情に溢れる小生は、どうせ資産運用もしたことないはず、50代の正規労働者で、住宅ローンも大卒前の子供も抱えていないなら、節約だけで十分だろうと判断し、いまの50代ならそこそこ年金も出るだろうから、10年で3000万円ほど貯めればよいのでは、と丁寧に解説しました。

しかるに先方は、もっと勉強がしたい(大学院?)、できれば定年前にリタイアしたい(自宅を売る??)、いっそ配偶者の所得は無視したい(熟年離婚かしらん???)、等々、老後必要額をどんどん膨張させた挙句、だからFPなんか無駄なんだと力説します。

・・・どうやら一杯喰わされたのかもしれません。

まじめに言えば、50代からの資産形成は、リスクの抑制が最重要です。ずっと給与生活者で過ごした人間には、まず節約以外に手はないでしょう(最近では「100歳までの長期投資」なる本もあるようですが)。本来であれば、40代までに築いた資産を徐々に安全なもの-MMFや国内債券、余裕があれば配当目的株や不動産等-に切り替えてゆく時期です。

もちろん、いまさら論陣をはっても後の祭り、敵はとっくに引き上げています。しかし、なんとなく悔しい気もするので、就寝前に決め台詞を残したく思います。(支離滅裂なエントリにお付き合いくださり恐縮です。)

One man's trash is another man's treasure.(Proverb)

「道同じからざれば、相い為めに謀らず」(孔子)

「しょせん貴様とは価値観が違う」(A.ガトー)

2007年8月17日 (金)

バーゲン

先日来の酷暑で体調を崩しています。読者の皆様はどうでしょうか。

暑い日々は眠るに限ると決め込んでいるうちに、世界同時株安に急な円高と、相場が大きく動いていたんですね。全く知りませんでした。短期投資家の方々はさぞや肝をつぶしていると思いますが、小生はむしろわくわくしています。

小生の投資法は、基本的には愚直にインデックスファンドを毎月積み立てるだけですが、多少は経験値をあげる目的で、次の2つのルールを設けています。

(1)直近の高値より10%程度下がったら追加投資する

(2)バブルが懸念されるとき(たとえば日経平均銘柄の平均PERが40倍超など)はポジションを清算する

1番目は逆張り、2番目は長期調整から避難、ということです。

もちろん、これらのルールも理論的には根拠があるわけではありません。少なくとも先進国の株式市場では、過去及び現在の株価は将来の株価に関する情報を持たない、というランダム・ウォーク仮説が妥当すると考えるべきでしょう。

とはいえ、株式相場にはある程度の規則的変動もみられ、とくに1番目の逆張りについては、実体経済に異常がみられない限り、株式相場はいずれ元に戻る-平均値への回帰-という現象をふまえています。

その意味で、この間の調整を考えると、GDP速報でも急な景気減速が見られず、また経常収支も黒字を拡大するなど、日本経済は巡航速度を保っていると思います。さらに、日米欧の大量資金注入で、米国の金融収縮→景気急減速、という可能性もそれほど高くないと思います。

つまり、個人投資家としては、ヘッジファンドやそれに貸し付けた金融機関のまねをして、慌てる必要はないということです。むしろ、せっかくのバーゲンセールを活かして、株式と外貨を買い増すべきかと思います。それでも心配な人には、次の格言をお送りします。

「ソックス(socks)を買うように、株式(stock)を買うように」(C.エリス)

2007年8月 9日 (木)

与信

小生にとって銀行とは、もっぱら給与の振込みと、各種料金やクレジットカード等の決済のために利用する会社です。最近はネットバンキングなど便利になってきたので、店舗に赴く回数もかなり少ないです。感覚的には、銀行を相手にせず、という感じでしょうか。

もちろん、銀行側も見方は同じで、大口定期も住宅ローンも事業性融資も申し込まない小生など、ただのゴミ利用者に過ぎません(おまけにATMも無料の時しか利用しない)。忙しい支店であれば、なるべく来て欲しくない類の客でしょう。

かつて山本夏彦氏は、預けるとともに借りることで二重に銀行を利してはじめて客である、預けるだけの客はいわば客の片割れにすぎない、と喝破しましたが、小生もこの客の片割れであり、むしろ幽霊です。

しかし小生、かつて一度だけ「全き客」になったことがあります。若気の至りで自動車ローンを組んだときです。とある地銀の支店にて、「200万円ほどカーローンを組みたいのですが」とびくびくとたずねたところ、少し偉そうな男性行員がやってきて、いきなり奥の方の仕切られた空間に連行された挙句、所得はもちろん優良運転者かどうかまでをも詰問され、それらを証明する書類をすべて準備するよう命じられました。

結果的には、あまり貯金がなかったのにもかかわらずフルローンを組めたので、その銀行には深く感謝したものですが、そのとき以来、銀行は一体どういう判断でお金を貸しているのか、興味をもっています。

自動車の場合、普通は担保としての評価などたかがしれてますから、小生の所得(と運転経歴?)に基づいて与信枠を設定し、適否を判断したのでしょう。

では、仮に車ではなく住宅ローンだった場合、どうなるのでしょうか。

路線価や近隣取引事例で物件の価値も一応評価しているのでしょうが、小生の見るところ、住宅ローンの場合も、やっぱり本人の年収や資産に基づいて、判断しているのではないでしょうか?

もし不動産の価値に基づいて貸し付けるのならば、米国と同様、ノンリコース型(担保以外の個人財産に遡及しない)の融資でもいいはずですし、また、収益性不動産のローン審査が住宅ローンと比べて格段に厳しくなる道理もありません。(→ローゼンメイジャーさん、間違ってたらごめんなさい。)

ただ、住宅ローン返済の破綻に起因する個人破産件数も増えているようなので、実際には、与信枠以上に貸し付けているのかもしれません。「ゆとり返済」などと称して与信枠の低い人にまで貸し付けたのであれば、日本版サブプライム問題というべきかも知れません。(国民生活金融公庫も大々的にやったので、あるいは国策というべきか?)

ともあれ、銀行がどのような判断で貸付額や貸付条件(金利など)を決めているのか。なかなか興味深い世界ですね。。

2007年7月28日 (土)

相場の下落時は

急に仕事が重なってしまい、ゆっくりブログを書く暇もないくらいなのですが、投資だけは続けています。といっても、投信を毎月自動で定期積立しているので、投資していることすらつい忘れてしまうのですが。

で、毎日「日経新聞」に目を通しているのになんですが、株式市場が急落しても、為替相場が円高になっても、あまり気にならないんですね。一応、株価欄と投信の基準価額欄には目を通していますが、心ここにあらずで、つい社会面や政治面、長嶋さんの「私の履歴書」なんかを熟読してしまいます。

デイトレ派・スイングトレード派の方々なら、騰落レシオがどうの、MACDがどうのと盛り上がる場面でしょうし、しこたま儲けた方も多いかと思います。逆に小生なぞ、ゼロクーポン債を購入直後に円高になったので、為替差損を蒙っております(ただし長期債の価格上昇に伴い、ドルでの時価評価は上がっています)。外貨建ての投信も、この1週間で5%ほど低落したようです。

しかしやっぱり、気にならないんですね。もともと30年の長期投資(ゼロクーポン債は15~20年)の予定ですし、また、投資金額を決めるときに最大で20~30%の損失を織り込んでいるからです。短期の変動につけこんで超過収益を上げ続けることはできない(少なくとも小生は)、という信念(?)もあります。

しかも、前もって一年分の投資金額を全額用意してかかっているので、相場がどうなろうと、その年の生活に支障はありません。毎月の黒字や臨時収入、ボーナスなどは、一旦MRFにプールしておき、目標額や臨時支出を考えて年末に投資額を決めているので、年の途中では、ほとんどすることがありません。

つまり、小生にとって投資とは、「年に5%も利息のつく30年物定期預金に預けた」、という感じです。言うまでもなく、定期預金は中途解約すると利息が大きく減ります。同じように、老後資金のための投資も、時期がくるまでは何があっても売らない、という構えで望むのが正しいと思います。

もっとも、MRFには多少の余裕を持たせて入金しているので、トレーディングの経験値を上げるために、安いうちに少し買い増ししようかな、などと考えてはおります。考えているうちに、相場が動いてしまうのですが。。。(やはりチキンですね)

2007年7月25日 (水)

金融偏差値

自分の金融資産残高を国民全体の水準と比較することは、良くも悪くも何がしかの示唆を-金融偏差値?-与えるものです。そこで、家計の金融資産の平均値を調べてみると、

平均値1073万円、中央値420万円

とあります(金融広報中央委員会調べ、平成18年)。

標準偏差(分布)がわからないので「偏差値」もわかりませんが、中央値と比較すると、かなり左(原点を左にとる)に歪んだ、ないしは右に裾の長い分布であることが伺われます。いずれにしても、420万円以上あれば上から50%の家計、1000万円以上あればたぶんかなり上位の家計だということになります。

では、まずは420万円、あるいは1000万円を貯金できれば、経済的に中流だと豪語できるのかといえば、少し事情は異なるようです。金融広報中央委員会の調査はあくまでアンケート調査なので、調査対象の偏りとか、過少・過大申告といったデータの偏りを免れないからです。(そこで標本調査法の出番なのですが、統計学の勉強が難破寸前なので、また後日にします。)

そこで、日本銀行の資金循環統計をみると、2006年で約1500兆円、国民一人当り1200万円とあります。

・・・あれ、なんだかおかしいですね。一見すると金融広報委員会の数字と同じようですが、日銀の方は「国民1人当り」です。1500兆円を世帯数5100万で割ると、1世帯当り2941万円という数字になります。金融広報中央委員会の数字の倍になります。

もちろん、金融広報中央委員会も世帯別に結果を公表していますが、それをみても、2人以上世帯で平均値1119万円(中央値470万円)、単身世帯ではじつに平均値470万円(中央値75万円)となっています。やはり半分以下の数値です。

「資金循環統計」の数値がどのように作成されるのか知らないので、これ以上深入りするのは控えますが、親子3人世帯の場合、本当の平均値は3000万円ぐらいとみるべきだと思います。

まとめると、自分の「金融偏差値」を検討する際は、統計学的には好ましくありませんが、平均値ではなく中央値を用いたほうが、精神衛生上はよいということになります。

2007年7月20日 (金)

ゼロクーポン債の追加購入

本日、米国ゼロクーポン債を追加購入し、子供に贈与しました。本年2回目の購入です。ずっと先の学費に充ててほしいと思ってのことですが、うっかり浪費されないよう、いま少し成長したところでしっかりFP教育を施す予定です。

ゼロクーポン債に限らず、株式でも土地でも商品でも、どのタイミングで買うかによって、最終的なリターンが大きく左右されます。米国の長期債の場合、最近は利回りが5%を超えているので、15年以上のものだと額面の半値以下で買うことができます。

前に買ったときは利回り4.6%だったので、円安になった分を差し引いても、より安く買うことができました。ということは、前に買ったゼロクーポン債の時価評価額はマイナスになっているわけですが、15年先まで売却しない予定なので、ノープロブレムです。

ただ、外債を買ってみてわかったことは、為替レート以上に、外国の長期金利(短期と違って市場で決まる)の上下によって、時価が大きく変動することです。小生のように長期保有目的であれば、特に気にする必要もありませんが、中途で売却する可能性がある場合は、その国の金利動向について、しっかりチェックしなければなりません。(最近は為替レートと金利差の連動も強まっているので、よけいに重要です。)

無借金の小生の場合、株価や為替と比べると、金利にはあまり注意を払ってきませんでしたが、ゼロクーポン債投資の思わぬ副産物として、金利への関心が芽生えました。修行を積んで、中期国債(2年物や5年物)のトレーディングなど、チキンな小生でも可能な投資戦術を身に着けたいものだと思いました。(個人向け国債は実質的に定期預金なので、債券投資の勉強にはなりません。)

2007年7月14日 (土)

恒産なくして

小生の好きな格言の一つに、「恒産なくして恒心なし」があります。『孟子』のなかの一文で、ご存知の方も多いとは思いますが、引用してみます。

「恒産なくして恒心あるは、惟(ただ)士のみ能(よ)くするを為す。民の若(ごと)きは即ち恒産なくんば因(よ)って恒心なし。苟(いやし)くも恒心なくんば、放辟邪侈(ほうへきじゃし)、為さざるところなし。」(孟子、梁恵王章句上)

恒産、つまり財産がなければ、人の心は安定しない。安定しなければ、なにかと不善をしてしまう。孟子の言いたいことは、為政者はまず経済(経世済民)をしっかりしなければ、民を徳化できない、ということですが、これは今の日本社会のみならず、個々人の生活設計にも当てはまると思います。

貧困者が多くなれば社会不安が高まり、治安を維持するために莫大なコストがかかることは、誰でもわかることでしょう。孟子自身も、上の文章に続けて、「已(すで)に罪に陥るに及んで然(しか)る後従って之を刑す、これ民を罔(あみ)する也」と述べ、人心を不安定にしたまま治安維持に腐心するやり方を下等なものと批判しています。

個人の生活でも同じです。俗にサンカクといい、貧すれば即ち「知恵をかく」「義理を欠く」そして「恥をかく」といいます。必ずしも悪いことはしないまでも、大きな借金を抱える人は、なんとなく落ち着きがなく、楽しそうにしていてもどこか陰があります。逆に、しっかりと資産を築いた人は、自信と風格に満ち、未来への明るい展望を語ることが多いように思います。(中にはとても性格の悪いお金持ちもいますけれども。。)

その意味では、他人本願ではなく、自分の力でしっかり稼いで賢く運用し、着実に資産を築いてゆくことは、人生修養だといえるのかもしれません。そして、資産を築く過程で自分の人生の夢や志を明確にし、いつか資産を有益に処分することができれば、それが物心ともに豊かな人生なのかもしれませんね。

恒産なき小生にはまだまだ遠い先の話ですが。

2007年7月 3日 (火)

2007年上半期の投資収益

小生は、主に老後資金積立(目標は年率平均5%)の目的で、インデックス型の投資信託をメインに積立投資しています。本格的に開始してから、ちょうど1年がたちましたので、2007年度上半期の投資収益を分析してみました。(なお、バランス型は家内が自分で購入したものです。)

資産クラス      収益率(年率)      配分比率

 国内株式         2.8%         25%

 海外株式        21.9%         34%

 海外債券         6.4%         34%

 バランス型(海外)    7.4%          7%

 合計            9.9%        100%

 *預貯金・MRF、個人向け国債、米国割引債などは除く。

世界的な株高(日本を除く)と円安基調のせいか、外貨建て投信の調子がいずれも良好な反面、国内株式が目標の半分にとどまっています。全体としては目標以上に回っていますし、今後30年かけて運用するので、別段気にしてはいませんけれども。

ただ、運用成績の違いのため、国内株式の比率が25%に低下してしまい、年末に向けてリバランス(積立額の変更)が多少必要になりました。配分比率に定説はないようなので、小生はごく穏健に(何も考えず)、国内株式、海外株式、海外債券に3等分することにしています。

資産配分については、いろいろ計算して「最適配分」を求めることもできますが、所詮は過去のデータなので、あまり厳密に考えても仕方ないかなと思っています。念のため、小生の資産配分でリターンを計算すると、期待収益率5.6%、リスク(2標準偏差)20.3%となります。つまり、1年後のリターンは、95%の確率で、-15.3%~25.9% の間に落ち着くというわけですね。(けっこうリスクとってました。。。)

国内債券クラスが抜けていますが、小生が保有するのは、1年以上経過した個人向け国債(10年物)だけなので、思い切って「定期預金」とみなし、生活防衛資金にカウントしています。つまり、元本を重視しているわけですが、ネット銀行の定期預金と比べても利率がいいので、ちょっぴり保有しているわけです。(ただし債券なので単利なんですね。。)

資産配分や分散投資については、FP検定2級テキストのポートフォリオ運用の部分のほか、内藤忍氏の『資産設計塾』シリーズ(自由国民社)が大変勉強になります。外貨投資編が新たに出版されたそうなので、またゆっくり勉強しようと考えているところです。

2007年7月 2日 (月)

家計相談をしてみました

先日、FPさんに家計を診断してもらいました。確定申告書のコピーや家計簿データ、金融資産残高明細、保険証券などを準備する必要がありますが、普段の管理が行き届いているので(自画自賛)、手抜かりはありません。ただ、タウン誌などにも登場される実績あるFPさんなので、やや緊張しました。

結果から言えば、家計管理も投資計画もよくできていて、大きく見直すべき点はない、というお褒めの言葉を賜りました。(家内が専門職の有資格者であることも大きな得点でした。)

むしろ、ライフプランに対する基本的な考え方の点で、いろいろ励ましの言葉をいただけました。とくに、懸念の教育準備に対して、「ご夫婦が利用された奨学金という選択肢もあります。ご自分たちで学費をまかなったという実績は、お子様の自立をうながすお手本にもなりますよ。」との暖かい激励を交えた「目から鱗の」説明に、感激しました。

小生もFP資格はもってますが、やはりプロのFPさん、それも実績ある方は、一味違います。所得や家族環境などが変わったら、また相談にゆこうと思いました。

よく考えると、小生が必要だったのは、FP相談というよりも、人生のカウンセリングだったのかもしれません。その意味でも、顧客ニーズを的確に捉えたプロの仕事だと感服する次第です。

なお、奨学金は免除職がなくなったので、名実ともに「公的教育ローン」となりました。ただ、比較的低利で、かつ支払猶予期間もあるので、郵貯の教育積立(積立額と同額までローン可能)とあわせれば、学資積立にそれほど焦る必要もないかもしれません。また、子供自身に学費を返済させることで、たしかに「自立」を促し、勉学意欲の向上も促すと思います。(もっとも、近日中に「ゼロクーポン債投資」第2弾も予定しておりますが。)

2007年6月27日 (水)

FP資格は役立つか?

前にも書きましたが、小生は「2級ファイナンシャルプランニング技能士」の資格を持っています。そして、実務経験がないので1級受検はしませんが、きんざいの『ファイナンシャル・プラン』を購読することで、知識の確認や更新に努めています。

職業としてFP業務に従事しない小生にとって、FP資格を持つことで、経済的なリターンを得ることはありません。自分のキャリアとなんら関係ないので、履歴書等に記載することもないでしょう。いうなれば、歴史検定その他の「趣味の資格」と同じ扱いです。

では、FPの勉強に要したお金や時間は無駄かといえば、小生はそうは思いません。金融や財政に関するリテラシーを高め、格差拡大社会を生き抜く経済的な知恵を身につけるという当初の目標について、それなりに達成できたと考えるからです。

FPの勉強をした今では、日経新聞や経済雑誌の金融や不動産、税制に関する記事がスラスラと読めますし、「もっと突っ込んだ記述が必要ではないか」と感じることさえ、しばしばです。リテラシー向上という点では、相当に進歩したと思います。日経以外の一般紙では物足りなくなり、新聞代が毎月高くなってしまうという、思わぬ副作用もありますが。

ただし、FP検定の学習内容は、法令など制度の理解に偏っており、具体的な商品選択や資産運用といった点では、必ずしも知識が得られないことに、注意する必要があります。2級の学科ではポートフォリオ運用にも触れていますが、あくまで考え方のレベルです。

FP技能士は投資顧問でも保険外務員でもないので、仕方のないことですが、投資方法などに関心があってFPの勉強をはじめると、拍子抜けするかもしれません。FP検定は、あくまで法律等の理解、はっきり言えば、税制の勉強だと割り切る方が、意欲をもって勉強をつづけられると思います。(受検技術上は「税を制するものはFPを制する」と言えます。)

ですので、具体的な商品選択や投資戦略を考える際には、FPの勉強とは別に、市販の投資本やウェブサイトなどを通じて、最新の情報を入手し、独自に検討を重ねなければいけません。小生の場合、低コストとリスク分散を重視する観点から、もっぱらインデックス投資派の書籍やブログを参照しています。

また、ライフプランの策定についても、本職のFPさんに依頼して、定期的に相談すべきだと思います。ライフプラン作成においては、似たような家計の事例を参考にすることが、とくに有益だからです。そして、中立的で良心的なFPさんかどうかを判断する上で、FPの勉強をしておくことは、実はとても役に立ちます。(ポジショントークや法令違反はすぐにわかります。)

要するに、FP試験の勉強をしたからといって、株式投資で大儲けしたり、人生の見通しが突然明るくなるわけでもないのですが、人生全体のファイナンシャル・プランの必要性を痛感し、税制や金融法制のあり方に関心を抱き、良心的なFP等を選別するという点で、FPの勉強は大変有益だと思います。

住民税アップで大慌てすることもないわけですね。(納得しているわけではありませんよ!)

2007年6月24日 (日)

ボーナス

夏のボーナスの季節になりました。小生は7月ですが、公務員はじめ、もう受け取った方も多いかと思います。生活費の足しにする人、ストレス解消にパッと使う人、手堅く定期預金に回す人など、使い方は様々でしょう。

家計の状況やローンの有無によって、ボーナスの使途は人それぞれですが、小生の家庭では、「ボーナスはなかったものとする」を心がけています。

別に近く職場が倒産するわけでありません(と思います)。ボーナスがゼロになったり遅配になったりしたことも未だありません。が、昨今の雇用情勢を鑑みるに、ボーナスに依存せずに生活設計するほうが、まず無難だろうと考えるからです。

なので小生は、生活費はもちろんのこと、臨時支出の類も可能な限り、毎月の給与でやりくりするよう努力しています。旅行や耐久消費財など、事前に計画できるものは、定期積立や旅行積立を利用しますし、冠婚葬祭や急病その他に備えて「臨時支出引当金」も設定し、定期的に「引当金繰入」を実施しています。

ボーナスをあてにしない生活を守ることで、会社が一方的な不利益変更にふみきったとしても、慌てることなく、冷静に対処することができます。これは心のゆとりをもたらします。本当であれば、賞与だけでなく手当も簡単に引き下げ可能なので、基本給のみでやりくりしたいところですが。

それでは、ボーナスが支給されたらどうするか。小生の場合、ボーナスは全額、「人生の引当金」に充当します。具体的には、老後資金用の投資信託や教育資金用の米国ゼロクーポン債の購入資金として、証券口座に入金してしまいます。

老後資金と教育資金は、毎月の給与からも積み立てていますが、さすがにあまり大きな金額は回せません。そこで、幸運にも(!)、賞与や臨時収入が得られたときは、それを積立にまわすことで、「安心のFP」(人生の3大出費を用意する)のいち早い達成を目指すわけです。

なお、本日(2007年6月24日付)の日経新聞によれば、ボーナスの使途は「貯蓄」(39%)と「生活費の補填」(27%)が双璧で、以下、「住宅ローン返済」(11%)、「耐久消費財等の買い物」(9%)、「旅行」(9%)、最後に「投資」(5%)とつづきます。

小生と同様、貯蓄すると回答した世帯が4割に達するなど、なかなか堅実な家計が多いようです。緊縮家計ばかりだと、かえって景気回復の足かせになるのかもしれませんが。(ケインズのいう「合成の誤謬」かもしれませんね。。。)

2007年6月23日 (土)

遺言書

一般にライフプランというと人生の夢や目標と、それをかなえるための家計経済その他の計画立案を意味します。いずれにせよ、前向きでポジティブな事柄であり、配偶者と相談するうちに、けっこう盛り上がったりもします。(女性は夢を語るのが好きなようですね。)

しかし、人間がいつかは必ず死すべき存在である以上、ライフプランの最終章は、死という究極のネガティブで閉じざるをえません。

「自分が生きているうちは死んでいないのだし、死んだあとは自分はいないのだから、死など考えても仕方がない」と強がった哲学者もいたようですが、この態度は個人としてはある種の達観と受け取れるものの、遺族にとっては迷惑極まりないでしょう。

遺言書がない場合の手続きたるや、じつに面倒なようです。本田桂子『その死に方は、迷惑です』(集英社新書)によれば、

(1)被相続人(死んだ人)の全財産を調査して財産目録を作り、

(2)被相続人の一生分の戸籍謄本並びに相続人全員の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書などの書類を集めて相続関係を明確にし、

(3)遺産分割協議書を作成して、それに基づいて財産の名義変更手続きをする

必要があるそうです。いわゆる「遺産争い」がなくてこれですから、財産分割でもめた場合は目も当てられません。

遺族が当座の生活に困窮せず、また相続争いなど生じないよう明快かつ公平な遺産配分を指示することは、確たるライフプランを定めるうえで、必要不可欠だと思います。

また、遺言書にはいくつかの種類がありますが、同書によれば、「自筆証書遺言」は、紛失や改変の恐れがあり、また、家庭裁判所の検認を受けるのに2~3ヶ月かかることもあるそうです。そして検認済みの遺言書を提示するまでは、銀行は故人名義の口座を凍結してしまいます。(さすがに葬式代の出金ぐらいは大目にみてくれるかもしれませんが ←ローゼンメイジャーさん、どうなんですか?)

小生の世帯も、家内名義の預貯金は少ないので、万一のときは大変です。生命保険の死亡保険金もすぐにもらえるのかわかりませんし、不払いや過少支払いも時々耳にします。前もって贈与してもいいのですが、子供への贈与ならばともかく、配偶者に対して贈与するのは変な気分です(婚姻と同時に財産面でも「合体」してるわけですから)。

そんなわけで、近いうちに時間をとって、公証人役場か行政書士さんのところに相談に行こうかと考えています。実際に「公正証書遺言」を作成すると、手数料その他で数万円ほどかかるそうですが、「保険と遺言は車の両輪」(前掲書)ということで、割り切ることにしています。

念のために。健康診断の結果が正しいとすれば、小生は全き健康体です。ただし、危険率-本当は病気なのに健康だと誤診する確率-が不明なので、統計学的にはなんら信頼できません。医学や統計を下手に勉強すると、かえって人生の心配事が増えますね。。

2007年6月18日 (月)

金持ち家族、貧乏家族

『プレジデント』誌(2007年7.2号)で「「金持ち」家族、「貧乏」家族」が特集されていると知り、早速、購入してみました。『プレジデント』といえば、エクゼクティブ御用達と思い込んでいたので、今まで手にすることはなかったのですが、開いてみると普通のビジネスパーソン向けの雰囲気で、とても読みやすい雑誌でした。

で、件の特集をじっくり読んだのですが、なかなか衝撃的な分析です。要するに、年収1000万円ぐらいの「中の上」の所得階層でこそ、破産の危険があるというのです。

本当の「上」ならばやりすごせてしまうし、「中の中」や「中の下」ならば、自分の経済力とじっくり相談して決して無理はしない。「中の上」であるがゆえに、なんとなく家や趣味やお受験に散財してしまい、気がつくとローンで首がまわらなくなる、というわけです。言われてみれば、なるほどと納得しました。

もう一つ面白かったのは、親の援助があると、子供世帯が貧困になるという分析です。これも上と同じで、親の援助を当然と思うことで、つい自分の所得以上の贅沢をしてしまい、親の援助がなくなった途端に、家計がだめになってしまうわけです。親の援助が子供の家庭経済をスポイルする事情は、アメリカでも同じようです。(スタンリー&ダンコ『となりの億万長者』(斉藤訳、早川書房)でも、特別に1章を割いて論じていました。)

もっとも、不動産リッチの金持ちサラリーマンに注目する辺りは、プレジデントらしい(?)かもしれません。不動産についてはいずれ書くつもりですが、別に不動産が魔法の資産というわけではなく、要するにレバレッジをかけて(借金して)運用しているため、リターンも大きくなる、というだけです。これがマイナスに働くとどうなるか、言うまでもないでしょう。

小生は、「貧困スパイラル」からの具体的な脱出法に王道(近道)はないと考えています。分に応じた生活を守り、決して見栄を張らないこと。状況が許すかぎり、共働きなどで所得を増やすこと。そしてリスク許容度に応じて、資産をじっくり運用すること。それ以外に方法があれば、どなたかご教授いただきたいと存じます。

「貯金生活をつづけていく上に、一番のさわりになるものは虚栄心である。・・・(中略)・・・銀はどうせ銀、銀なりに暮らせばいいのであるが、さらに人生をより安全にし、生活をより健全にしようとするならば、むしろ一歩を退いて-事実は一歩を進めて-実力以下の銅なり、鉄なりの生活から出発していくべきだろうではないか。」(本多静六『私の財産告白』実業之日本社、31-32頁より引用)

2007年6月13日 (水)

簿記の活用(4)

簿記の活用の最後は、評価性資産、つまり「引当金」についてです。

すでに何回か「安心のFP」として紹介しましたが、会社や政府に頼りきった生き方では、親の世代と同様の人生をおくることが、とても難しい時代になりました。職場では、終身雇用・年功序列賃金が崩れ、組合にも力はありません。公的年金に至っては、最初から徴収することしか考えてなかったのではないかと思われるフシもあります。

そのため、老後生活費や子供の教育費、住宅取得費などは、前もって計画的に準備しなければなりません。いつまでに、いくらのお金を、どうやって準備するかについて、実現可能な計画をたて、長期にわたって忍耐強くそれを実行しなければなりません。

新聞や雑誌などで、「当面使わない余裕資金が100万円ほどあるのだけど、何で運用するべきでしょうか」といった質問をよく目にしますが、人生に必要な資金に目処がつくまでは、それは決して「余裕資金」ではなく、「引当金」として積立にまわすべきお金にすぎません。

引当金であるならば、基本的には元本を重視し、インフレが懸念されたり、数十年後の老後資金を準備する場合に、インデックスファンドを主とした国際分散投資で長期的に運用する、といった辺りが、まず妥当ではないでしょうか。

もし、生活費2年分以上の預貯金と持ち家があり、教育費(子供一人につき700~2000万円)や老後生活費(公的年金がもらえると仮定して3000~4000万円)の積立も目処がつき、それでもなお、お金が余っているならば、それが本当の余裕資金です。

このお金は、いってみればゼロになっても人生に何の影響もないお金ですから、思い切った集中投資ができます。新興市場株でもヘッジファンドでも商品先物でも、金額と好みに応じて大胆にリスクをとり、いち早い経済的独立と億万長者をめざしましょう。

小生にはまったく未知の領域ですが。。

「集中してやっていることが、金持ちがますます金持ちになるもうひとつの理由だ。中流階級の人は分散投資をし、貧しい人は社会保障を頼りにする。」(ロバート・キヨサキ、Yahoo! Financeのブログ「金持ちがますます金持ちになる理由」の第6回から引用)

2007年6月12日 (火)

簿記の活用(3)

前回は、価格変動がない場合の住宅・自動車購入を考えました。しかし、実際には価格変動を免れません。(自動車の場合は、クラッシックカーなどを除き、一方的に下落します。)

不動産の場合、購入時よりもあがるケースもありますが、個人がそうした優良物件を手にする確率はきわめて低いと思います。不動産市場では、経済学で言う、情報の非対称性が存在するからです。

また、首尾よく優良物件を格安で手に入れたとしても、不動産の価格は、金利変動から近隣でのトラブルまで、じつに多くの要因で上下します。それらを読みきることはまず不可能です。近所の土壌から有害な化学物質が検出されたとか、じつは欠陥住宅だったとか、なんともやりきれない悲劇的ケースもあとを絶ちません。

自動車ならリコールもききますが、不動産の場合、瑕疵(かし)担保責任を問おうとしたら業者がいなくなった、なんてことも耳にします。やはり、購入時点の真剣勝負で決まるのでしょう。知人の一級建築士さんは、住宅を購入する際は、50万円ばかり支払ってでも、信頼できる建築士か土地家屋調査士に点検してもらうべきだと言ってました。

さらに恐ろしいのは、ローンを組んで入手した場合です。小生はお金を怖れる気持ちがあるので、他人のお金(借金)にまで手をだそうとは決して思いません。

そもそも、借金は負債なので、返済が終るまでは、病気になろうがリストラされようが、毎月決められた返済額を、銀行に収めねばなりません。支払が滞ると、銀行は容赦なく住宅を取り上げ、競売にかけてしまいます。

小生は、感情的にはこうした不安を背負いたくないので、ローンを組みません。(クレジットカードも一回払いのみです。)

もちろん、理性的に考えても、ローンは割に合いません。負債には「支払利息」という費用が発生しますが、返済期間が長期になると、これが信じがたい金額となります。前回述べた計算例のように、3000万円の住宅ローンを30年、利率3.5%で返済するとなると、支払利息は総額で1850万円(!)になります。

これは大金です。よくわかりませんが、これだけあれば、ベンツ2台、豪華海外旅行10回、パソコン100台、東京の超高級レストラン200回ぐらいのお大尽ができます。それだけのお金を、現金が貯まるまで待てずに、今すぐローンで買ってしまったことによって、銀行に貢ぐことになるわけです。

ですから、小生の偏見も混じっていますが、住宅ローンこそは、最大の贅沢にして壮大なる散財だと確信しております。以前のエントリで、銀行は人類の戦士だと褒め称えましたが、住宅ローンを迫る限りは、「国民の敵」(山本夏彦)かもしれません。

要するに、借り入れによって純資産以上の資産を運用することは、事業以外では、なるべく避けるべきということが、簿記3級から学んだ結論です。小心な自分には、それが一番だと思っています。

2007年6月11日 (月)

簿記の活用(2)

今回は、前回に引き続いて、資産と純資産(資本)の区別、そして減価償却ついて、述べたいと思います。

普通の給与生活者の場合、資産と純資産の違いを意識するのは、自動車や住宅をローンで購入したときだと思います。

例えば、1000万円の預金を持つ人が、4000万円の新築分譲マンションを、頭金1000万円、住宅ローン3000万円(30年、固定金利3.5%)で購入したとしましょう。購入直後の貸借対照表は、4000万円の資産に対して、負債が3000万円、純資産が1000万円となります。

資産は1000万円から4000万円へと増えていますが、負債も3000万円増えているので、純資産は同じ1000万円です。違うのは、前は預金だった1000万円が、今は住宅(の四分の一)に化けていることと、純資産の3倍の負債を背負っていることです。

しかしながら、住宅価格が変化しない場合でも、毎年、帳簿には変化が生じます。

まず、預金の場合は利子がもらえますが、不動産の場合は逆に、固定資産税・都市計画税などの保有コストを取られます。自動車も同じく、自動車保有税や自賠責保険料、車検代といった保有コストがかかります。(駐車場を借りている場合は、その地代も発生します。)

つまり、資産でありながら、毎年費用を発生させてしまうわけです。(このため、かのロバート・キヨサキ氏は、持ち家を「資産」ではなく「負債」と分類しています。)

さらに、より深刻なことは、住宅や自動車は、毎年必ず、帳簿上の価値が減少することです。これを「減価償却」といい、住宅は20-40年ほどで、自動車も7年ほどで価値がゼロになります。

減価償却自体は、更新のための積立と考えれば納得できますが、問題なのは、給与生活者には減損会計、つまり減価償却費を費用として所得から差し引くことが、認められていないことです。これでは、住宅も自動車もただの高価な消費財、ということになってしまいます。外国ではどうか知りませんが、なんとかしてほしいものです。

要するに、住宅や自動車は、購入時点から価格が変化しなかったとしても、保有するだけで税金をとられ、かつ、毎年目減りしてゆくという、個人にとってきわめて不利な資産だといえます。同じ資産であれば、金融資産を持つ方が合理的だと思います。

しかも、次回述べるように、価格変動やローンを考えると、住宅や自動車は、家計に対して破壊的な影響を及ぼしかねません。

なので、小心な小生は、家やクルマとは距離を置き、預貯金や債券、株式投信と交際を深めているわけです。言い換えれば、より安全な資産を買っているわけです。

2007年6月10日 (日)

簿記の活用

小生は、仕事とはまったく無関係ですが、FPと並行して簿記の勉強もしています。統計学が落ち着いたら、次は日商簿記2級に挑戦しようと考えています。とくに、商業簿記の知識は、家計管理や投資先の検討などに大いに役立ちそうなので、勉学の励みになります。

小生は昔受検した日商3級しか持っていませんが、それでも、家計管理には大変有効です。とくに、① 損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の違い、② 資産と資本(純資産)の区別、③ 減価償却費や引当金の概念などが、勉強になりました。

今回は、①について説明します。

①とは、要するに、年収と資産を区別することです。いくら年収が高くても、無駄遣いばかりしていれば、資産を作ることはできず、いつまでも自転車操業を余儀なくされます。逆に、低所得の世帯でも、数千万円の金融資産と持ち家を持っていれば、まず生活は安泰でしょう。(高齢者にありがちです。)

どのぐらいの資産が要るのかについては、ライフプランと運用能力によって様々でしょうが、ひとつの目安として、スタンリー&ダンコ『となりの億万長者』(斉藤訳、早川書房)の「期待資産額」(米国でお金持ちになる家計の平均的資産額)を紹介すると、

期待資産額=(年齢×税引き前年収)÷10  (相続等がある場合は除く)

となります。

例えば、夫が40歳、年収800万円で、奥さんが専業主婦の場合、(40×800)÷10=3200万円(!)が期待資産額となります。

この公式の恐ろしいところは、明らかに、年収が高ければ高いほど、また、年齢が高ければ高いほど、期待資産額も大きくなることです。しかも、実際の資産額がこの期待資産額の半分に満たない家計は、「蓄財劣等生」とよばれ、家計を早急に見直さないと、将来の安心がおぼつかないと警告されます。

まぁ、社会保障(年金や医療)の水準が違うので、日本ではもう少し手加減してもよいかもしれませんし、また、資産に実物資産を含めるかどうかで話が変わるので、この公式はあくまで努力目標とする方が無難です。

もちろん、小生の家計は「蓄財劣等生」ですよ。。

2007年6月 7日 (木)

宝くじ

少し前まで、宝くじがテレビCMで流れていました。所さんから西田さんに代わったのはなぜだろうと思いつつも、別のことを考えてみました。

実は小生も宝くじを買ったことがあります。たしか連番で10枚、3000円分買い、300円を回収したと記憶しています。それきりです。投資元本の9割も失ったからです。

よく言われることですが、宝くじはきわめて割の合わないギャンブルです。購入総額の半分以上(55%)が胴元の取り分で、よくは知りませんが、自治体の公共事業の財源に充てられるそうです。賞金が非課税とされるなどの特典もありますが、「宝くじは愚か者に課せられる税金だ」と思って、まず間違いないでしょう。

小生は、教育や社会保障のための税金ならばまだしも、よくわからない箱物事業の税金なぞ、これ以上払いたくはありません。よって、宝くじは買わないことにしています。

小生が宝くじを買わない理由は、いまひとつあります。それは、賞金がケタはずれに大きいことです。

お金というものは、それをうまくコントロールする能力があってはじめて、活きた使い方ができます。能力がないのに大金を手にすると、かえって人生を台無しにしてしまう例は、枚挙に暇がないでしょう。

小生の場合、2~3000万円程度のお金であれば、あまり頭を悩ますことなく、安いインデックスファンドを組み合わせて国際分散投資の利いたポートフォリオをつくり、年率5%程度で運用すると思います。3000万円の5%でも150万円ですから、生活はグンと楽になります。

けれども、3億円となると、手数料や信託報酬だけで数百万円にもなります。定期預金や国債では面白みがありません。どうしても、個別株式や不動産、事業出資などになりますが、それらには何より目利きが要りますし、信頼できる税理士や弁護士の協力も必要です。

残念ながら、今の小生にはそうした能力も人脈もありません。ですので、仮に3億円があたったとしたら、その使い方に毎日苦悩し、ノイローゼになると思います。そして気晴らしに散財しはじめ、気がついたら一文無しになっているでしょう。

以上のような理由で、小生は宝くじをむしろ恐れているわけです。

当選した人からいろいろ奢ってもらうのに吝かではありませんが。

2007年6月 5日 (火)

教育積立

FP資格ホルダーの小生は、知識のバックアップ目的で、「ファイナンシャル・プランニング」を購読しています。面白い連載がいくつかあって、けっこう楽しみにしている雑誌です。

今月号(2007年6月号)の「浅井秀一の行列ができるFP相談室」という連載で、教育資金の準備について論じられており、大変興味をそそられました(30-31頁)。詳しくは同誌を手にして頂きたいですが、学資保険のなかには元本割れも多いこと、また、収益性を得るために、積立額の半分程度はインデックスファンド等に回すべきだとの意見に、なるほどと思いました。

小生も、学資保険を少しだけやって解約した経験があります。別に保険会社のせいではないのですが(長期金利は市場の神様が決めるので)、それにしても学資保険の利回りはあまりに低すぎます。元本割れなぞ論外です。死亡保障が必要なら、貯蓄に励むか、別に割安の生命保険に加入すればよいと思います。

小生の場合は、定期積立預金と米割引債で学資を準備することにしましたが、安全資産とリスク性資産の配分比率がプロの先生と同程度だったことに、少し自信が湧きました。(もちろん、リスクと期待リターンは異なりますが。)

日本国政府が高等教育の無償化を定めた「国際人権A規約13条」を批准すれば、こんな苦労もないわけですが。。。(同条を留保しているのは、マダガスカル、ルワンダ、そして日本の3カ国だけだそうです。)

2007年6月 4日 (月)

ファイナンシャル・プランニング技能士

以前にも述べたとおり、小生はファイナンシャル・プランニング技能士検定(以下、FP技能士検定)を受検したことがあります。受検要件のない3級から受検し、1年ほど前に2級も取得しました。

FP技能士検定は、範囲が膨大で、かつ実技試験では計算や記述も必要なので、自己啓発のための資格試験としては、難易度が高いほうだと思います。小生の場合、金融関係者ではないので、とにかくきんざいのテキストを全部そろえて目を通し、過去問を反復練習するやり方で、受検に臨みました。ごくオーソドックスな受験勉強法です。

掲示板などでは誰でも受かるように書いてありますが、少なくとも2級になると、合格率はぐんと下がります。1級ともなると難関資格並みの難易度です。FP技能士はたんなる名称独占ですが、さすが国家資格だけのことはあります。

もっとも、小生の場合、最低限のファイナンシャル・リテラシーの獲得が目的だったので、日本FP協会のAFP登録はしていません。他人様に助言するのは、責任感と実務経験に裏打ちされたプロの仕事だからです。

それにしても、短期間で詰め込んだ知識は、忘れるのもあっという間です。あぶく銭が身につかないのと同じ理屈かもしれません。いまは統計学の勉強に励んでますが、こちらは多少仕事に関係するので、できるだけ忘れてしまわないよう、工夫したいと考えています。

なぐさめの言葉。「ところが、その悪い記憶力が最上の記憶力であることがよくあるのです。それは、往々にして、ものを弁別選択して憶える記憶力なのです。選択記憶力というのは、試験で華々しい成績をあげることはめったにありませんが、文学や美術の場合には抜群の力を発揮します。」(ハマトン、渡部・下谷訳『知的生活』講談社学術文庫、174頁。 ←最近ハマッてます)

2007年5月31日 (木)

投資と節約

小生が投資に興味を持ったのは、たまたま木村剛氏の『投資戦略の発想法』(アスコム)という名著と出会ってからです。本書では、ごく平均的な給与生活者の立場に立って、親身かつ丁寧に、投資の意義と心構えを教えてくれます。

未読の方は手にとられるのがおススメですが、「節約は確実な運用手法である」「あなたのポートフォリオの中核は仕事だ」「ゆっくりとお金持ちになろう」など、よく考えれば当たり前ですが、投資のときにはつい忘れてしまう大事なことが、大書されています。

また、投資の前の準備編に、半分以上のペーが割かれています。そしてその準備編が、じつに有益です。すでに3回ほどノートをとりましたが、いまでも時々ページをめくっては反芻(はんすう)しています。小生の家庭では、本書の助言に従って、①家計簿をつけて毎月の支出を把握し定型化する、②生活費の24ヶ月相当分を貯蓄する、③自動車や不動産は当面所有しない、ことを実践しています。とくに③は、「固定費」の節約という大切な戦略です。

自動車と住宅だけでなく、保険料や教育費、携帯電話代などもそうですが、生活費を節約する上で最初に検討すべきは、こうした固定費だと思います。固定費を見直すだけで、生涯を通じてかるく1000万円単位の節約ができるからです。35年住宅ローンの金利部分、5年ごとの新車購入費と維持費用、オール私立の教育費・・・。計算するまでもないでしょう。

人生の価値観は多様ですが、これら費用に圧迫されて食費や小遣いをけずるのは、経営不振を理由にまず人件費から手をつける愚かな社長と同じだと思います。

もちろん、慣れ親しんだライフスタイルと決別することは大変なストレスです。小生の場合も、自動車を手放すときに、毎年ボーナス1回分の支出にもなる、万一人をはねたりしたら人生は終わりだ、たしかスウェーデンでは国王陛下も自転車を御愛用である、などと理屈をこねて自分で自分を説得し、気が変わらぬうちに中古車査定会社を呼びつけて、えいやっと手放しました。

しばらくは不安で一杯でしたが、都市部に住んでいるので生活に支障はなく、また、自転車が意外に便利だと再認識するなど、今では無理することなく、より健康で環境にやさしいライフスタイルで過ごしています。振りかえると、多少、「自動車中毒」だったかも知れません。

それなりの資産収入があれば、VWやBMWが欲しいのですけどね。。

2007年5月29日 (火)

ファイナンシャル・プランニング

所帯持ちの30代だからでしょうか、小生も人並みにファイナンシャル・プランニング(以下、FP)に興味があります。仕事とはまったく無関係ですが、FP技能士検定なんぞも受検してみました。受検については後日書くとして、今回はFPの考え方についてです。

FPが必要になる最大の理由は、漫然と過ごしていては、子育てや住宅取得、退職後の生活などで、資金繰りがショートする可能性があるからです。自動車を5年ごとに買換え、子供2人を高校から私学にやり、4000万円ほどの住宅ローンを組んでいると、年収800万円を超える世帯でも家計が破綻するという試算もあります。住宅と教育をなんとか乗り切ったとしても、年金と貯蓄、退職金で老後の生活をまかなえないと、子供たちに迷惑がかかることになります。

要するに、人並みの人生を過ごすためだけでも、しっかりしたFPが必要なわけです。そうしたFPを、小生は「安心のためのFP」とよび、「快適なくらしのためのFP」とか「お金持ちになるためのFP」とは区別しています。

「安心のためのFP」では、人生に必要なお金を冷静に算定し、分散投資でリスクを軽減しつつ、長期的な構えで辛抱することが肝要だと考えています。その点、インデックス投資家向けの書籍やブログが増えてきたことは、とてもありがたいことです。また、資産形成がある程度すすむまでは、保険も利用せざるを得ないでしょう。

投資計画よりも大事なのは、むしろライフプランのほうです。ライフプランによって必要なお金はずいぶん変ってくるので、家族内でしっかりと話し合い、また、見栄をはらずに実現可能な水準で、準備すべき金額を見積もらねばなりません。

小生の家庭では、子供は原則オール国公立、自動車や持ち家も当分持たないこととし、安心のFPに沿って貯蓄と投資を実行しています。まだまだ道のりは遠いですが、くじけずに勤倹貯蓄を徹底したいと思います。

"Grow rich slowly-ゆっくりと金持ちになる "(木村剛『投資戦略の発想法』)が座右の銘です。

2007年5月26日 (土)

もったいない

小生の家庭では、ごはんを残すと家内にきつく叱られます。死に物狂いで食べて消化すると、トイレットペーパーの消費量について怒られます。いっそ食べないでいると、自分ばかり痩せてズルイと小言を言われます。

というのは冗談ですが、最近になって、食品や雑貨、洋服などの生活必需品について、もったいないという感覚が身についてきました。

今年から職場の手当がカットされ、緊縮財政の節約生活を余儀なくされたことがきっかけですが、工夫を重ねて無駄をなくし、物を最後まで使い切る、あるいは別の用途に転用するなど、あれこれ知恵を絞るのも、いかにも人生の些事を満喫でき、結構楽しめます。主婦向けの雑誌やブログなど、参考になる記事がいろいろあるのも便利です。

また、節約する→貯金ができる→投資にまわす→資産が増える(かも知れない)、というサイクルを通じて、将来に希望をもつことができます。複利の力を信じて、ゆっくりと資産形成を眺めるのもまた、人生の楽しみといえるでしょう。

もっとも、知り合いの医家(の卵)によれば、省エネ・省ゴミ程度ではさして意味がない。地球に降り注ぐ太陽エネルギーのほとんどを有効に利用していないことこそ、本当のもったいないではないか、と反論されました。人類があまり頑張ると、熱力学の法則によって宇宙の寿命が縮まるよ、と再反論しておきましたが、もっともな意見です。

さしあたり、ベランダに野菜でも植えて、たんぱく質を合成するところからはじめたいと考えました。

2007年5月25日 (金)

ゼロクーポン債

以前にも書きましたが、学資積立をいかに効率的に準備するかで、今後の家庭経済が大きく変わってきます。子供の誕生とともに準備をはじめれば15~20年の猶予期間が得られますが、これがじつに中途半端で、安全性を重視するには期間が長く、株式を主力に据えて収益性を追求するには期間が短いのです。あれこれと数ヶ月悩みましたが、最終的に、株の代わりに外債、具体的には米国のゼロクーポン債を組み込むことにしました。

ゼロクーポン債(割引債)とは、毎年の利払い(クーポン)が無い代わりに、額面よりずっと安い価格で購入できる債券です。例えば、15年満期の割引債の場合、利回りを5%とすれば、額面のほぼ半額で購入できます。

割引債の利点は、利子がないので利子課税もなく、複利の効果を最大限に活用できることです(課税の繰り延べ効果)。もちろん、満期時の償還額と購入元本との差額に対しては課税されますが、満期前に売却することで節税することもできます。

他方、外債には、様々なリスクが伴います。米国債の場合、信用リスク(米国が破産する)や流動性リスク(債券が売買できない)はあまりないので、もっぱら価格リスクを負うことになります。外債の価格変動は、主に金利と為替レートによります。金利が上がれば(既発)債券の価格は下落し、円高になれば外債の円建て評価額が下落します。

とはいえ、長期債の場合、1ドル=50円といったすごい円高にならない限り、為替レートは気に病む必要はありませんし、為替差損がイヤなら円に戻さず、海外旅行や留学資金に流用すれば済みます。また、満期(直前)まで保有するなら金利による価格変動も関係ありません。むしろ、米国はこれから景気が後退し、長期金利も下落するそうなので、途中で債券価格が急上昇し、売却する機会があるかもしれません。(ただし、米国の金利上昇は、日米金利差の縮小に伴う円高を促す可能性もあります。)

将来の為替や金利は「神々」の御心次第ですので、たたりを畏れる小生としては、円高リスクへの最小限の備えとして、積立式定期も続けることにしました。厳密な期待リターンの計算をしたわけではないですが、外債と預金が最終的に半々になるように準備する計画です。

それから、証券口座と銀行口座は、子供の名義にしました。節税を考えた部分もありますが、親がどれだけ苦労して学費を用意したかを自覚させることで、就学意欲を高め、親に対する尊敬心を抱いてもらおうと期待してのことです。

「私のお金をどう使おうと、私の勝手でしょう」と言われるかもしれませんが。

2007年5月23日 (水)

預金は傲慢?

本日も午後から日帰り出張でした。道中、以前買い求めていた、マーフィー&ガワー『日本は金持ち、あなたは貧乏。なぜ?』(飛永訳、毎日新聞社)を眺めていると、なるほどと思わせる文章に出会いました。

「お金を貸して、何が起ころうとも元金は回収され利子を手に入れられるだろうと期待する人は、事態がうまくいかないときにも、誰か自分以外の他人がそのリスクを負うだろうと期待している。これを宗教的に言いかえれば、彼は神のみにある能力が自分にもあると仮定しているのだ。すなわち、未来を知る能力である。だが、それが貯蓄を銀行や郵便局に預けるときになされる約束である。どんなことが起こっても、元金は戻ってきて、利子は支払われる、と。」(上掲、52頁)

小生は、これまでイスラム世界で(中世のキリスト教も)利子が禁じられるのは、ごく単純に、勤労はエデンを追われた人間の義務であり、よって不労所得は一般に悪徳である、という宗教的認識に由来すると思っていました。しかし、同書の指摘が正しいとすれば、本来不確実なもの(リスク)を確実なものとして約束することそのものが、自らを神の地位に引き上げる行為として、厳しく罰せられるべきだということになります。

要するに、固定利子のつく銀行預金とは、神ならざる人間の傲慢というわけです。

そう考えると興味深いのは、バーンスタインの大著『リスク』(青山訳、日本経済新聞社)です。じつは本棚に眠ったままですが、その原題には、Against the Gods(「神々への反逆」)と書かれています。つまり、リスクの引き受けを本来は神々の行為だとみる点は一致しつつも、それを罪ではなく、人間の戦いだと評価するわけです。(「神々」と複数形なのは、ギリシャ神話の「運命の三姉妹」をイメージするからでしょうか?)

最も単純な金融商品である銀行預金にも、神と人間のドラマが隠されている。今度から銀行に立ち寄るときは、人類の戦士である銀行員を拝まねばならないでしょう。

本当は預金がペイオフ上限を超える方を拝みたいところですが。

2007年5月20日 (日)

コツコツと

前にイギリス貴族の貯木について書きましたが、その精神性のすばらしい点は、くらしと自然との調和のみならず、かけがえのないもの(他では入手できないもの)を時間をかけて作り上げるという点にも、求めることができると思います。

そう考えると、フランス人は子供ができたら上等の赤ワインを買って蔵に貯蔵し、その子が結婚式するときにコルクを抜くといいますし、イタリアのある地方では娘の成長とともに白い布に刺繍を施し、結婚式のウェディングドレスに仕立てるとききます。小生も子供を授かったとき、家内の父が梅の木を植えてくださり、いずれ三世代で梅酒をいただけるかなと楽しみにしています。

複利効果でゆっくり資産形成を目指す長期投資法に対しても、単に投資法としての実績よりも、むしろ心情的な部分で、小生には理解しやすいです。ただ、巨額の財政赤字と少子高齢化に苦しむわが国への長期投資が本当に報われるのか、そこが不安なのですが。(ジム・ロジャース氏も「滅びゆくものに賭けてはいけない」と釘を刺しています。。。)

投資はともかく、20年-30年後の楽しみを何か作っておくことで、忙しい毎日にも潤いが増すように思いますし、実際にやりとげたときの感慨はひとしおだと想像します。

2007年5月19日 (土)

娘に贈る言葉

行きつけの書店で面白そうな本を買ってきました。

ジム・ロジャース『娘に贈る12の言葉』(林康史監訳、日本経済新聞社)

きれいな装丁で一見すると子育て本のようですが、副題に「人生と投資で成功するために」とあるように、投資で成功するための秘訣をまとめた教本です。じつは著者は、かのジョージ・ソロス氏とファンドを立ち上げて大成功し、37歳でアーリー・リタイアした立志伝中の人物です。「監訳者あとがき」によれば、60歳にしてはじめて授かった子供のために記したのが本書だそうで、なるほど、あたたかい口調で教訓が語られているわけです。

まだざっと目を通しただけなのですが、大勢に迎合することなく、自分のアタマで考えること、そのためにもひろく世界と歴史を学ぶこと、奢らず高ぶらず努力を続けること等、ごく通俗的な処世訓が、しかし投資において最も重要なことだと教えてくれます。何かの本で「市場は信念なき者を容赦なく叩き潰す」と読んだことを思い出しましたが、投資というのは、一種の人生哲学、生き方のスタイルが問われる一大事業であり、だからこそ成功した者は、富と自由を得るのだと思いました。

いまの小生には子供に伝えるべき何程の物もありませんが、投資に限らず、仕事や生活のなかから大切なものを見出し、教え諭してゆければと考えています。

本書から気に入った処世訓をひとつだけ。「食事をすませてから、スーパーマーケットに行くように。」

2007年5月16日 (水)

給料日

今日は一足はやい給料日でした。小生は家計の記帳係に任じられているため、天引き額や積立貯金額を毎月必ず確認しています。そのせいか、嬉しいはずの給料日が、かえってため息をつく日になってしまいました。

税金や社会保険料が高いことは仕方ありません。無駄遣いはもちろん是正してほしいですが、社会生活を営むための様々なシステムを運営し、あるいは経済的に困窮する人たちのくらしをある程度まで支えるためには、所得再分配が不可欠だからです。自分もいつ失業したり病気になったりするかわからないわけですから、利己的な判断からも、天引きは受忍するほかないと思います。(負担ゼロで最大に給付できれば最高ですが、「ただめしはない」のが娑婆の現実です。)

しかしながら、手取り額から生活費を差し引いていくと、もはや幾ばくも残らず、こつこつと貯金を続けたところで、いつになったら「経済的独立」(不労所得で生活できる状態)にたどり着けるのか、と暗くなるのも事実です。株式などに投資しても、より賢い投資家の手に渡ってしまうのがオチでしょうし、起業で一山当てるのも、まず現実的ではありません。

それどころか、人並みの人生を送るだけでも、相当のお金が必要なようです。FPさんのサイトをみると、①老後生活費(年金だけでは足りない)、②教育費、③住宅ローンが人生の3大支出とされています。小生は気楽な賃貸暮らしなので住宅ローンは免れてますが、老後資金と教育費、とくに後者はすぐに準備しないと大変なことになりそうです。学費だけで約700万円らしいので、15年かけて貯めるとすると年47万円、月4万円!

これは過酷です。

仮に外債(『日経新聞』5月13日付「資産運用」欄で紹介されていた米ゼロ・クーポン債など)を活用して、15年にわたり平均して年5%で運用できたとしましょう。減債基金係数が0.046なので、年32万円、月2.7万円です。少しはマシになりますが、まだ生命保険2本分ぐらいです。しかも、過去15年間に1ドル79円から147円まで為替レートが50%ほど動いているので、満期まで保有してもプラスにならない可能性もあります。

老後資金はより長期で準備すればよいのですが、しかし必要金額は2000万円とも3000万円とも言われており、もはや現実感のない金額です。仮に住宅ローンなどを抱えた世帯では、子育て終了後の所得と退職金でなんとかするしかないでしょう。

そういうわけで、経済的独立を夢見つつ、日々勤倹貯蓄に精励し、まずは教育資金の確保に全力を尽くすことが、当座の人生計画ということになります。そして論理的に導かれた解を承知できない小生は、一人静かにため息をつくわけです。